11/22の日記

23:53
いい夫婦の日
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そして昨日はいいアベミハの日でした!

ということでSS


「11月22日」

阿部君、遅いなぁ。
オレはさっきから鳴らない携帯電話と開く気配のないドアを交互に眺めている。

今朝、ご飯を食べながら阿部君にさりげなく聞いたことを思い出す。


「阿部君、今日、早い?」
「ん?仕事?たぶんいつも通り…あー、でも今結構忙しいから遅くなるかも。」
「…そっか。」
「なんでそんなこと聞くんだよ?」
「ん、と。…なんでもない、よ。」

結局オレがはぐらかしてしまったけど、阿部君は今日が何の日か、別に気にしてない風だった。

だからきっと遅いのかもしれない。
仕事が忙しいのは阿部君が頼られてる証拠だし、阿部君もなんだかんだ言って楽しそうだからそれはいい。

でも今日だけは、ちょっとだけ豪華にした食事が少しずつ冷めていってしまうのが何だかむなしく思えた。

ブブブブ…ブブブブ…

不意に机の上の携帯が震える。

『阿部隆也』

表示された名前を見て俺は勢いよく携帯を開いた。

「あっ、あべくん!」
「おー…って、何でそんな必死な声…」
阿部君が噴き出す声が聞こえて俺は少し赤くなる。
「そ、それはどうでもよく、て。阿部君、どうしたの?…やっぱり…」
「うん。やっぱり遅くなる、って連絡。飲み会誘われてさ。」
「そ…っか。…付き合いじゃしょうがない、よね。飲みすぎないようにね。」
じんわりと浮かぶ涙を感づかれないように、俺は精一杯阿部君に伝える。
すると、電話ごしでもわかるように阿部君がムっとしたのがわかった。
「…なぁ、お前、たまにはわがまま言えばいいのに。なんでそう変なところで強がるんだよ。」

そりゃ、言えるものならいいたいよ。でも、阿部君の仕事のことだもん、仕方ないよ。
仕事先で頼られる阿部君でいてほしいし、阿部君の邪魔にはなりたくない。
でも、そんな俺の心情をわかってくれない阿部君に思わず本心が漏れる。
「…いよ。…阿部君にっ、早く帰ってきてほしい、よ!!そばにいてほしいよ!たまには仕事よりオレを優先してほしい、よ!」

半分叫びながら、半分泣きながら言った俺の本心に阿部君はフッと声を漏らす。

「はい。良く言えました。じゃあご褒美な。玄関開けてみ。」

阿部君の思わぬ反応に俺は今まで泣き叫んでいたのも忘れ、思わず携帯を握りなおして玄関へ向かう。




ドアを開けた先には案の定阿部君が立っていた。

「あっ、あべくっ!!」

追突するように阿部君に抱き着くと「おい、コラ」って言いながらも嬉しそうに抱き留めてくれた。





「ちょっとクセーけど。ホラ、花束。」
俺の追突を紙一重で免れたとってもきれいな花束が阿部君から手渡される。

「え…?なんで…?」

何もない日にこんなキザなことをするような阿部君ではない。俺は本気で驚きながら阿部君に聞く。

「何言ってるんだよ。だったらお前だってなんでこんな豪華な料理作ってるんだ?…それと理由、一緒じゃねぇの?」

照れたように阿部君が髪をかき上げる。

「へっ…だって、阿部君、朝聞いても全然気づいてないみたいだったし、こういうイベントとか…気にしないような人、だし…」

「…俺だってたまにはこういうことしたくなるし。気付かない振りしたほうがお前だって喜ぶって思ってたんだよ!」

まさか阿部君がこんなこと考えてくれてるなんて思いもしなくて、俺はまた涙目になる。

「あーホラ、なくなっつの。」
涙をぬぐう阿部君の手は、少しゴツゴツしていてとってもあったかい。

「うう…でも、うれしくって…阿部君、ありがとっ」

最後の言葉は阿部君の唇に飲み込まれる。

「んんっ…うっは」
いきなりの深いキスに対応できなくて、俺は思わず顔を離した。

「ムラっときた。ベッド行くぞ。」
そういった阿部君の目は全く冗談を言ってるようには見えなくて俺はうろたえる。

「で、でも。ごはん。」
「こっちが先」

ひょいっと抱えられて、ベッドに向かうオレ。
ごはんが食べられるのはもっと先のことになりそうだけど、それ以上に俺は満たされた気分になるのだった。


おわり




即席なので誤字脱字あったらすいません(笑)

この夫婦はいつまでもこうしてラブラブなんでしょうな。
結婚記念日と兼ねてるっていうのもいいなぁと思いましたがとりあえずは普通のいい夫婦の日ということで。
ベッタベタなうえに阿部君もクサいことしてますが、とりあえずいい夫婦の日といいアベミハの日の記念ということで♪

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