novel
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「ふぅ…」
誰もいない部屋には妙に響く溜め息と、汗をかき始めたペットボトルの蓋を開ける音、水を喉に流し込む音は、耳障りで仕方がない。
――ガチャ
耳障りな音に更に上乗せしたその音に過剰に反応した。
玄関からペタペタとこちらに向かって歩いてくる音と、ガサガサとビニール袋の掠れる音。
――カチャ
「あ、雅治起きてたんだ?」
期待していたその声の持ち主に、飛びかかるように抱きつき、自分でも驚くくらい泣きそうな声を出した。
「おかえり…」
後ろに回された腕は、小さな子を宥めるように優しく俺の背を叩いた。
目が覚めても0じゃなくて
“よかった”のは
君がいるから…
END