novel

□0
2ページ/3ページ






「ふぅ…」


誰もいない部屋には妙に響く溜め息と、汗をかき始めたペットボトルの蓋を開ける音、水を喉に流し込む音は、耳障りで仕方がない。


――ガチャ


耳障りな音に更に上乗せしたその音に過剰に反応した。

玄関からペタペタとこちらに向かって歩いてくる音と、ガサガサとビニール袋の掠れる音。


――カチャ


「あ、雅治起きてたんだ?」


期待していたその声の持ち主に、飛びかかるように抱きつき、自分でも驚くくらい泣きそうな声を出した。


「おかえり…」


後ろに回された腕は、小さな子を宥めるように優しく俺の背を叩いた。






目が覚めても0じゃなくて
“よかった”のは

君がいるから…





END


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ