その他

□うららかな春の出来事
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それは、うららかな春の日の出来事。


くしゅん

小さなくしゃみが静かな室内に響いた。

「おや、テイト君風邪ですか?」

「あっ、カツラギ大佐。う〜ん風邪って言う程でもないんですよ。」

「ダメですよ。風邪はひき始めが肝心です。今日は、早めに上がって病院に行って下さいね。」

参謀部唯一の常識人(だとテイトは思っている)であるカツラギにやんわりと言われれば、テイトは拒否する事ができない。
仕方なく、病院に行くことにした。


まさか、その選択が悪夢の始まりだとは知らずに…



ーーーーー


「では、次の方。第三診察室へどうぞ。」

やっと自分の番が来て、テイトは呼ばれた第三診察室へと入り中で待ち構えていたのは…


「はぁ〜い☆テイト君、元気?」


「ヒュ…ウガ…少佐…?」

「あたり〜★はいっ、りんごアメ♪」

目の前の出来事についていけず、差し出されたアメを受け取ろうと……

「ってー!!何で、ここにいるんだよ。」

「あはは、だってテイト君が病院に行くって言ってからさぁ〜。えへへっ♪」

「だからって、ここにいる理由になってないし。それに…」

テイトが胡乱気に見ているのは

「あぁ、これねぇ。」

そう言って、ヒュウガがバタバタとさせているのは、白衣。

「びっくりした?これ、本物だよ。」

「いやっ、びっくりって言うか。コスプレなら他のとこでやれよ。」

「ちょっと、テイト君。俺の話聞いてた?これはコスプレじゃなくて本物。これだって……ほら。」

そう言って、ヒュウガが取り出したのは医師免許。

「えぇーー!!ってこれ本物?マジで?」

ヒュウガがもつ免許証をマジマジと見つめているが、どうやら本物らしい。

「でも…一体どうやって……」

「そんなの試験受けたに決まってるじゃん!テイト君。さては君俺のことバカだと思ってたでしょ?」

「えっ、あぁ、まぁ、そのぉー…うん。ずっとバカで、アホで、マゾで、仕事もしないダメ人間の見本だと思ってた。」

「ひどっ!!テイト君が、そんな目でいつも俺のこと見てたなんて。」

と言ってめそめそと泣きまねをするヒュウガ。

「そんな意地悪な子は、アヤたんに縛られて虐められればいいんだぁ〜。」

呪いの言葉を吐いて、ヒュウガは出て行った。ご丁寧にも入り口の扉に鍵をかけて……

不吉な予感をしつつも向こうから鍵をかけられたため、前に進むしか無くなった。
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