シリアス・甘
□探し求めたもの
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「アヤた〜ん、調子はどう?」
部屋の中央にあるベッドの上では、いまだ目覚めない少年がいる。
「そうだな・・・」
ベッドの近くにいるアヤナミは、愛おしそうに少年の頬を撫でる。
「だいぶ、記憶を封じたが、まだかかるだろう。」
「えー!!そうなのー?!ちゃちゃっとなんないの?」
いつの間にか、アヤナミの反対側に椅子を持ち込み腰掛けているヒュウガ。
そっと、手をだしそのまま少年のふっくらとした頬をつつこうとした。
「触わるな!!」
先程までのやわらかな慈愛に満ちた雰囲気が霧散し、代わりに身を斬るような威圧感が空間を駆け抜けた。
「こっわいな〜☆アヤたん、ちょっと触るくらい、いいじゃん。ケチだなぁ〜・・・」
威圧感など感じないような、明るい口調で言うヒュウガ。
「・・・ぅ。・・ん・・・」
「ほらほら、アヤたん。怖いから起きちゃうよ〜♪」
アヤナミは、鋭い目線だけをヒュウガに向け言外に帰れと促す。
「わかった、わかった。帰りますよー♪起きるのを楽しみにしてるからね♪」
そう言って、ヒュウガは帰って行った。
アヤナミは目覚めかけていた少年の額に手をやる。
すると、その手のひらが淡く光る。
少年は再び、深い眠りに堕ちた。
「そうだ。まだ、目覚めるには早い。もう少しでお前は全てを忘れ、私のものになる。」
室内は静寂に満ち、捕らわれた少年の心にある記憶は封じられていく。
闇よりも深い奥底へと・・・。
*END*