青の祓魔師
□落し物の在り処
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雪男を預かり一夜あけた朝。ゆさゆさと揺すられ、ゆっくりと目を開けばそこに
いたのは眼鏡をかけた自分の弟にそっくら雪男だった。
「おぉ〜・・・おはよ。」
「おはよう。」
「それにしても、早いなぁ。」枕元にある時計をちらりと見れば、まだ5時だっ
た。
「・・・その時計、止まってるよ。」
「えっ・・・
時計を掴んで良く見れば、先程から全く秒針が動かない。慌てて携帯電話を探す
。
「もう、10時だよ。」
「10時!?って、そういえばお前小学生だよなっ?うわぁー、完全に遅刻じゃないか。」
一人ぶつぶつと呟く燐に雪男は小学生とは思えないほど冷静に言った。
「今日、土曜日だから学校ないよ。」
「えっ!マジで?」
頭を掻きむしるのをやめて、雪男を見ればコクリと頷かれた。
「なんだ、休みかよ。そういえばさ、雪男。・・・お前、どうするんだ?」
雪男は首を傾げ、何を指しているのかわからない。
「いや、本当にその俺と暮らすのかとか。・・・昨日の今日であれを思い出すのは辛いとは思うんだけど。」
いろいろと言わなくてはいけないことがあるのに、燐の頭は起きぬけで元々頭の
回転も速くはないので何から話すべきか全然纏まらない。
ぐぅ〜
「あっ。」
音の震源は雪男のお腹の音だった。雪男は自分のお腹を抑え顔を赤くした。そう
いえば、もう朝と言っても昼に近い時間だ。自分はともかく育ち盛りの小学生の
食事は大切だ。
「そうだよな。とりあえず、朝飯食べるか。」
久しぶりの朝食といっても、もう昼に近いので朝・昼食まとめての食事だ。
二人分の食事を手際良く作る。昔と同じ要領で、あっという間に出来上がった。
「うしっ!完成っと。」
昨日の残りの肉じゃがと鮭の塩焼きと茄子と油揚げのみそ汁が二人分テーブルの
上に用意された。
「頂きます!」
手を合わせて食べようとする燐とは反対側にいる雪男は自分の前にある料理と燐
の顔を交互に見る。
「お腹空いてるだろ?はやく、食べよーぜ。」
燐がそう言って笑いかければ
「頂きます。」
と言って食べはじめた。
「ごちそうさま。」
「ごちそうさまでした。」
揃って食べ終わり、思わず二人で見つめあってしまった。
「・・・あの。」
「やっぱり、お前はちゃんとしたところで暮らしたほうがいいよな。」
「えっ?」
「たぶん気づいてるとは思うが、俺は悪魔だ。しかも、ただの悪魔じゃない。・・・青焔魔。魔神の仔だ。」
そう告げた燐の顔は、とても辛そうで雪男は叫んでいた。
「そんなの関係ない。例え悪魔の仔でもあなたは僕を助けてくれた。僕は・・・一緒にいたいです。」
「・・・雪男。それじゃあ、一緒に暮らすか。」