青の祓魔師

□見失いさまよう心
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がたんっ

激しく物が倒れる音が聞こえ、目を覚ました。
そして何回か大きく物が倒れる音が聞こえ始め、両親の叫び声が聞こえた。

「化け物!!」

ドンッ

何かが床に倒れた音が聞こえ、母の必死な声が聞こえる。

何が起きているのだろうと、そっと開いた扉の先で床や壁一面に紅い紅い色が塗
りたくられており床に倒れているのは父と母で奇怪な姿をした者だけが立ってい
た。

恐い
とっさに口に手を当てて悲鳴を飲み込む。震える足で近くの部屋に飛び込むとク
ローゼットの中に身を隠した。
そして、ゆっくりと何者かが動き始めた。
心臓が痛いほど脈打ち、何も考えることはできない。それでも、あの奇怪な者に
見つからないよう必死に口に手を当て悲鳴を噛み殺す。
どれ程時間が経過しただろうか?
1分?1時間?
もはや、時間の感覚すらなくなった頃とうとう目の前に奇怪な者がやってきた。
見つかってしまうと思ったその時、窓硝子が割れ一人の男が現れた。
「祓魔使か?」
奇怪な者が男に向かってそう言えば、男は手に持っている剣を鞘から抜き放った

蒼い幻想的な火の粉が視界に広がり蒼い炎が男を包みこんだ。「この蒼い炎は・
・・魔神の
奇怪な者が驚愕していると男は流れるように動き、剣を突き立てる。
そして、蒼い炎が一瞬の内に燃やし尽くした。
男が剣を鞘にしまうと蒼い炎が一瞬の内に消え青白い月の光が男の顔を照らしだ
す。
男は少年のような顔をした青年だった。

コトンッ

「まだ、いるのか!?」
男は、剣をいつでも抜ける状態にしてクローゼットを開け放った。
「・・・こ、ども?」
クローゼットの中にいたのは、眼鏡をかけた子供でまだ小学生くらいだろう。
「もう、大丈夫だからな。」
子供に向かって手を差し出せば、怖ず怖ずと小さな手を重ねた。

子供を抱えて外に出れば、ここまで一緒にきた祓魔使がいた。「ご苦労様です。
その子供は一体?」
連れてきた子供を地面に下ろす。
「・・・たぶん、この家の子供だ。」
「あぁ、そういえばこの家には一人息子がいたと・・。では、この子が雪男君で
しょうか?」「ユキオ?こいつ、雪男って言うのか?」
「えぇ、調書によればそうなってますが何か?」
「・・・いや。何でもないよ。ただ、懐かしいなって。」
わずかに浮かべた微笑みに男は首を傾げたものの、話を続けた。
「では、上級悪魔を討伐。子供一名生存。それにしても、本当に剣一本で悪魔を
倒してしまうなんて驚きました。」
「まぁ、いろいろとあるんだよ。それよりもこいつはどうなるんだ?」
「この子の両親は亡くなってしまったので通常は親戚に預けることになるのです
が、どうも親戚がいないらしいので施設に預けることになるかと。」
「そっか。雪男、お前の家族助けられなくてごめんな。俺がもっとはやく行って
れば・・・」
この人のせいではないのに。
ギュッと拳を握り締める男の服を掴むとクイッと引っ張った。
「・・・ありがとう。」
小さな声だったが、たしかに聞こえたありがとうと。
「じゃあ、雪男君。行こうか?」
男の服を掴んでいるのとは反対の手をとり歩きだそうとするが、雪男は服を掴ん
だまま離そうとしない。
「雪男君?どうしたのかな?」雪男はふるふると頭をふるばかりで男の服を離そ
うとはしない。
「・・・どうしましょう?」
「いや、どうしましょうって俺に言われてもなぁ。うーん・・・」
「あのぉ〜、申し訳ありませんがフェレス卿に今回の件について連絡していただ
けませんか?私はこれから本部へ連絡しなければならないので。」
「えっ?あぁ、まぁいいけど。」
「本当ですか?いやぁ、すみません。雪男君のことも報告しなければならないん
で、一緒に連れて行ってあげて下さい。私も報告が終わりましたら向かいますの
で。」
「おう!じゃあ、よろしくな。」
「はいっ。では、よろしくお願いします。」


「さてと、じゃあ俺達はメフィストんとこに行くかぁ。」
そう雪男に話しかければ、雪男は顔をあげて男と視線を合わせコクンと頷いた。
「あっ、そういえばよ。俺まだ、名前いってなかったよな?」
「俺は奥村燐だ。」
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