その他
□知らぬは本人ばかりなり
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テイトはとても緊張していた。
それは遡ること一週間前のことだった。
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「テイト、知ってる?アヤナミ様が9月からアメリカに行くんだって〜!?」
突然の出来事にテイトは呆けてしまっていた。
「テイトー。おーい、テイトー!!」
クロユリはテイトの目の前で手を振ってみる。
しばし、呆然としていたテイトだったが、数十回目の呼びかけで我にと返った。
「あっ・・・と、クロユリ?」
先ほどのクロユリの言葉がテイトの頭の中をグルグルと回っている。
「ちょっと、テイトしっかりしなよぉ〜。ぼぉ〜としてる暇ないんだからさぁ・・・。」
「あぁ・・・、うん。うん、わかってるよ。」
そう言うテイトだが、全く先ほどの言葉が理解でぎずクロユリの言葉もあまり耳に入っていなかった。
「・・・で、だから一刻も早く告白するんだよ!」
「あぁ・・・、うんうん、わかったよ。わかってるよ。大丈夫、俺はいつも通り。」
なんとか返事は返すものの、まるでトンチンカンな答えをするテイトを見て、クロユリはため息をつく。
今日は何を言ってもダメだろうとテイトを帰らせることにした。
「ねぇ、ハルセ。」
テイトを帰したクロユリは、ハルセと話していた。
「やっぱり、ちょっと刺激が強すぎたかな?」
「・・・仕方ないですよ。」
「そうだよねぇ〜、アヤナミ様もあれでけっこう鈍いし、テイトはテイトでがんばってるけど気付いてもらえてないし・・・。テイトも鈍いから今イチよくわかってなさそうだし・・・テイト、ちゃんと帰れたかな?」
「ちょっと、心配ですね。」
二人はテイトが帰って行った方向を見つめ呟いたのだった。