学パロ

□第三弾 父登場
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「お疲れ様でした。今回の撮影は長かったですね、クロムさん。」

「そうだね。そういえばナミちゃんは、最近この仕事始めたんだよね?」

そう言って、微笑みかける男は人気俳優のクロムである。

「そうなんです。よろしくお願いします。そういえば、クロムさんって子どもさんいるんですよね?」

ナミがそう言うと、周りのスタッフたちの視線がそこらじゅうから集まり。
みんながみんなご愁傷様でしたという顔をしていた。

「ん?何だろ?」

ナミが不思議に思っていると隣にいたクロムが突然震えだした。

「えっ、どうしたんですか!!クロムさん!!しっかりして下さい!!」
震えていたクロムが突然ガバッと勢いよく顔を上げた。

「ナミちゃん!!よく、よく、聞いてくれたね!!」

勢い良くナミの肩に手を置き語り始めた。

「私には、四人子どもがいてね。一番上がフラウと言って今はもう高校三年生で・・・で、二番目と三番目はなんと双子でねぇ、二番目はカストルって言って・・・で、三番目がラブラドールって言って・・・それで、末っ子がテイトって言って・・・。みんな、スッゴく可愛くて天使みたいで・・・」

終わりがまったく見えてこない話に慌ててナミは、割って入った。

「あっ、あのクロムさん!!」

「・・・もう、みんな可愛くすぎだ!!・・・ん?なんだい、ナミちゃん?これから、フラウの三才の話が始まるんだけどな・・・」

強引に割り込んだにも関わらず、話を続けたクロムは素敵な笑顔で話を続ける素振りを見せた。

(さすが、俳優かっこいいけど負けちゃダメ!!)

「えっと、クロムさん。せっかく今日は早く終わったんですから、すぐにお帰りになれば、息子さん喜ぶと思いますよ!!というか、絶対早く帰った方がいいですよ!!」
クロムに負けまいと必死に笑顔で帰るよう促すナミ。

「・・・う〜ん?そうかな〜?」

クロムは迷っている。

「(ここは、たたみかけるべし!!)久しぶりだから、みんな首を長くして待ってます!!絶対!!」

「そうだね。ありがとう、ナミちゃん!!今度はフラウ三才の話から始めるから楽しみにしててね☆それじゃあ、今度の撮影で〜!!」

しっかりと次回の約束を取り付け満足したクロムは、いつも以上のキラキラ笑顔で去って行った。


呆然とクロムを見送ったナミはポンポンと肩を叩かれ振り返ると、スタッフ全員がこちらを見ていた。

「よかったね。ナミちゃん、アルバムが出てくる前で・・・」

「えっ、アルバム??」

「うん。アルバムが出ると、もう止まんないんだよ。クロムさん。この前はクロイツさんって人がきて、やっと止まったんだよ。」

今日のはまだ序の口らしいなんて・・・
サァーと血の気が引くナミだった。
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