シリアス・甘
□探し求めたもの
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*天界の長の娘の魂がテイトに転生ってことで!
「私の躯を返してもらうぞ。」
そう言ってアヤナミは、白い手袋を外し、テイトの魂に触れる。
テイトの口からは絶叫が迸る。
「・・・まさか・・・この魂は・・・」
アヤナミの脳裏に流れ込んできたのは、彼女の姿。
天界での甘い日々。
笑顔を見せる彼女と過ごす日々は永遠に続くと思っていた・・・
「テイト=クライン。お前がそうだったのか。」
気を失ったテイトの体に手を差し入れ、抱き上げる。
「やっと・・・手に入れた。お前がいれば、私は・・・」
「テイトーー!!」
駆けつけてきたのは、かつての自分フェアローレンを封じ、その際、鎌に喰われた哀れな死神だった。
「お前・・・テイトを・・・テイトの魂を喰ったのか?」
ニヤリと口角を釣り上げて笑う。
「この魂は、私のものだ。かつて、私が愛した魂を喰らうなど・・・」
かつて、アヤナミ・・・フェアローレンが愛したものと言えば・・・。
「なっ・・・テイトの魂が天界の長の娘の魂だと?!」
そう言うと、アヤナミは腕の中で眠るテイトの顔を愛おしく撫でる。
「そうだ。長年、探し続けたものが近くにあったとはな。」
長年探し求めていたもの。
彼女の魂。
美しく、清らかな魂。
アヤナミは、サラサラと流れる黒髪を掬いとり指に絡める。
ふわりと広がる香りは、アヤナミの胸を満たす。
「いただいて行くぞ。」
そう言葉を残し、アヤナミとテイトの姿は闇に溶け込むように消えた。
残されたのは哀れな死神。
手を離さないと誓った魂を奪われた・・・。
*END*