シリアス・甘
□獲物
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*瞳離別からのお話です。
フラウはミカエルの瞳を取り、俺は・・・アヤナミの部下の男に捕らえられた。
「くそっ!!離せよ、このっ!!」
がっしりとした肩に担がれていて暴れても相手にダメージを与えることができない。
「はいはい、大人しくしてねー♪お兄さんは、仕事中で大変なんだからね!」
男は危なげなく、ホークザイルを操縦し第一級艦艇リビドザイルに帰還した。
カツン、カツンと靴を鳴らして、通路を歩いて行く。
カシャン。
扉のロックを開けると、部屋にある電灯に明かりがつく。
担いでいたテイトをベッドの上に放り投げる。
「うわっ・・・っと・・・俺をどうするつもりだ?!」
放り投げた相手を睨みつけるが、扉付近で何かしているため、よくわからないが相手にはまるで効いた様子はない。
ピッ・・ピッ・ピピピッ。
電子音が鳴り、部屋がロックされた。
「うんっ♪これでよしっと!」
振り返って、無言でベッドの上にいるテイトへと近づく。
何を考えているのか、わからない常に浮かべていた笑みを消し無機質な瞳をひたりと向けられた。
今まで感じたことがない恐怖を感じ、徐々に後ずさりするテイト。
だが、そう大きくないベッドではすぐに終わりがくる。
「う〜ん、睨んでくるのもいいけど・・・やっぱり、怯えてる感じもいいねぇ。」
いつもの飄々とした笑みではなく、どこか血に飢えた野生の獣のような笑みを浮かべるヒュウガだった。
「ーっと、忘れてた忘れてた。」
そう言って、今度は鎖を取り出した。
そして、テイトが呆気にとられていると、一気に腕をつかみ鎖で拘束された。
「なっ・・・お前、何を・・」
「んー?何って、何?やっぱり、腕だけじゃダメだよねー!?」
今度は、片足をつかまれベッドの足へと頑丈にぐるぐると繋がれた。
これでは、逃げることもできない。
「うんうん♪これでよしっと!じゃあ、ちょーとアヤたんに報告でもしてきますかね。」
「アヤナミ」と言う言葉を聞いた瞬間、全身に熱く血が巡った。
怒りに燃えた目でヒュウガを睨みつけた。
「・・・威勢がいいのもいいけど、俺が戻るまでいい子にしててね。」
そう言い残すと、ロックを解除して出て行った。
廊下に出てヒュウガは、今出たばかりの部屋に向き直る。
(ゾクゾクする。今まであんな強い煌めきを持つ瞳を見たことがない。もっといろんな、感情が渦巻き、さまざまな光をを魅せる瞳をみたい。独占したい。)
知らず知らずに、胸が高鳴る。
熱く胸を焦がすのは、燃える翡翠の瞳。
思い出すだけで、高揚感に包まれる。
「ヒュウガ、貴様、何をニヤニヤしている?」
「えっ?あぁ、アヤたんか。」
アヤナミは、不審そうな瞳で見てきた。
「んー、ちょっとね♪ねぇ、アヤたん。俺さぁ、あの子気にいっちゃった!」
あの子とは、おそらくテイト=クラインのことだろう。
アヤナミがそう考えていると、ヒュウガは話し続けた。
「すっごく、ゾクゾクするんだ。あの煌めく瞳が俺を離さない。もっと、熱い灼き尽くすようなのがみたい。・・・ねぇ、しばらく貸して♪」
楽しそうに歪んだ笑みを浮かべ、赤く、なまめかしい舌で唇を舐める。
まるで、肉食の獣のように。
「・・・ふっ、まぁいいだろう。」
「やったぁー☆もう、アヤたん大好き!!」
そう言って抱きつこうとしてきたので、とりあえず腰にある刀を抜こうとした。
「いやん、アヤたんってば、ジョークジョーク。ジョークですよ。だから、戻して下さい。」
チッと舌打ちしてアヤナミは戻って行った。
そしてヒュウガはロックした部屋へと戻って行った。
熱く胸を焦がす瞳を持つ天使のいる部屋へ・・・
*END*