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□苦痛の日々
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「リナリー、ただいま!」
「あら、お帰りなさいアレン君」

任務が終わったアレンが最初に抱きついた人はリナリーで、その光景を遠くから見ている人物がいた。

その人物は………

(面白くねぇっ!)

こちらも任務帰り、アレンの恋人の神田である。

普段なら神田の姿を見るなり抱きついてくるのだが、現在の対照はリナリーとなっていた。

神田にとってアレンが…例え同性だとしても抱きついている姿を見るのは嫉妬心を燃え上がらせるのは必須。

何故こんな状況になっているのかと言うと、任務から帰った神田の目の前で起きたのだった。



―――



「帰ったぞ、コムイ」
「お帰り、神田君!アレン君もそろそろって、噂をすれば何とやらだね」
「ただ今戻り…あっ、神田ぁ!」

ソファにドカッと座り込んだ神田をコムイが迎えた直後に、少々埃を被ったアレンが部屋に入ってきた。

そして神田の姿を見たアレンがその隣に腰を降ろした後に悲劇が。

「お帰りなさい、アレン君。はい、コーヒーね」
「ありがとうございます、リナリー…うっ!ケホッ!」

ひょっこり現れたリナリーからコーヒーを貰い、お礼を言って口を付けたのが運の尽で。

一口を飲み込んだ瞬間、アレンは口を押さえて咳込み始めた。

「あっ、アレン君!?どうかしたのっ?」
「モヤシ!大丈夫か!?」
「うっ…リナリー…?」

苦しそうに目を開けたアレンの肩に手を置くリナリーを見た途端、先程とは打って変わって頬を染めた。

「リナリー…大好きです!」
「「はぁっ!?」」

急にリナリーに抱きついたと思ったら愛の告白。

声を揃えて驚いた神田とコムイを余所に、リナリーは嬉しそうに笑っている。

「お、おい!どうしたんだモヤシ!」
「神田…ごめんなさい!君も好きだけど、今はリナリーの方が好きなんです!」

実はあのコーヒーには惚れ薬が入っていて、神田からアレンを引き離そうとしたらしい。

勝ち誇った顔をしたリナリーに擦りつくアレンを見て、神田の目の前は真っ暗になった。
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