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□国の頂上、王と巫女
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時は中世、ヨーロッパのとある国の城に、怒気を含んだ叫び声が響き渡った。

「馬鹿モヤシぃ!何処に行った!!」

城の廊下をあるく人こそ、この国の王である。

名を神田ユウと言い、若干18歳で王の階級を任される秀才だ。

その発言力や行動力はさることながら、重臣達からの信頼も厚い。

しかし冒頭にもあるように、神田は非常に口が悪く、性格も傲慢で高飛車。

笑った瞬間など見た事がないと言われる程、いつも不機嫌な顔をしている。

神田の言う馬鹿モヤシとはあだ名で、アレン・ウォーカーと呼ばれる巫女だ。

巫女はこの国で王に次ぐ権力の持ち主で、歴代の王と巫女は身を結ぶのが殆ど。

神田とアレンもそれに倣い、恋人同士だ。

しかしこの巫女、2〜3日に1回は城を抜け出す癖があり、その度に神田が探しに行くという日々が続いていた。

そして今日もアレンが城を抜け出し、神田が探しに行こうとする訳だ。

「おい、ラビはいるか!」
「お呼びですか?」

神田が呼ぶと、紅い髪に右目に眼帯をした青年が現れた。

彼はブックマンの一族で、代々この国の歴史を記録するのが役目(騎士団長も掛け持ち)。

ラビは歳も近く、頭のキレる人物として神田から信頼されている。

「今からモヤシを探しに行ってくる。後の事は任せた」
「ほいさ!いってらっしゃい」

人懐っこい笑顔を浮かべるラビに仕事を頼み、神田は自身が治める城下町へ。

無駄に歩き回っているであろうアレンを探しに、神田は黒いマントを羽織って城を出た。
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