parallel

□黒と白の秘密
1ページ/11ページ

とある街のとあるマンションの一室で、テレビを見ている少女が1人。

彼女の目線の先には、眼鏡を掛けた30代前半ぐらいの司会者がマイクを持って喋っている。

『今日のゲストは最近話題になっている俳優、神田ユウ君で〜す!』

司会者がドアに向かって手を伸ばすと、黒い髪を高い位置で結った仏頂面の青年が入ってきた。

その瞬間、観客席にいた全ての女性から黄色い声を上げ、それに比例して神田と呼ばれた青年の眉間の皺が深く刻まれていく。

(あぁ〜。神田、今日も機嫌が悪いなぁ)

テレビを見ていた少女は思わず苦笑した。

女性からの歓声が大きければ大きい程機嫌が悪くなると言う方程式を知っているからだ。

不機嫌そうに椅子に腰掛け、腕を組む神田。

この様子だと、神田に対する質問は・・・

『神田君は幅広い年代の女性に人気だけど、現在付き合ってる彼女はいるのかな?』
(ほらね、やっぱり訊いちゃったよあの人。毎度、同じネタしか訊けないのかなぁ)

神田に訊いた質問は予想通りで、ギロリと睨みつける彼は今、不機嫌最高潮。

こんな日の後は・・・。

(僕に当たるんだよなぁ。こっちの身にもなってほしいよ)

彼女はいるのか?と訊かれた後は、足腰が立たなくなるくらい神田に抱かれるのだ。

少女はこれから起きる惨劇に頭を抱えた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ