parallel

□白い訪問者
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学生の日常は退屈そのものだ。
一週間という枠に区切られて、毎週毎週同じカリキュラムを同じ先公に同じクラスの連中で受ける。
だから、学生は変化に飢えている。
ほんの少しの"違う"ものを見つけるたびに、それを大事件のようにはやし立てて退屈な日常の連鎖から気を紛らわそうとする。

「校門のところに違う学校の女子がいるんだ!!誰かを待ってるみたいなんだけど・・・」
「マジ!?誰かの彼女じゃないんさ?」
「告白だったりして!!」

そしてこの日もそれに違わなかった。
赤髪の少年、ラビを中心にクラス内での騒ぎを聞きながら、神田は舌打ちをした後眉間に皺を寄せて溜息を吐いた。

(あの馬鹿兎共・・・。たかが女一人いるからってよくここまで騒げるな)

と神田は思う。
仮に校門前に佇んでいる女生徒が、この学校の誰かの彼女だったとして、それは完全に自分とは関わりのないことだ。
神田は大きく欠伸をすると、睡魔に誘われて眠りにつこうとする。
先週の席替えで運良く窓際の席になった。
窓側の前から四番目。
何をしていても教卓にいる先公には気付かれにくく、適度に日が当たって心地のいい場所だ。
おまけに運動場と校門にも面しているため、外の景色は眺められるし、退屈になったら体育の授業でも見てればいい。
多分、この教室内でこれ以上ないほど絶好の場所だ。
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