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□important memory
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「神田、今晩帰ってくるんだって。2週間振りかな、ティム?」
ティムと呼ばれた金色のゴーレムは、主であるアレンの言葉に反応し、頭上でくるくると回っている。
任務が重なり、すれ違いが続いていた日々。
神田の任務も今日終わり、アレンも昨日に教団へと戻って来ていた。
漸く恋人と過ごせるのだ、嬉しくない訳がない。
神田と何をしようかなと考えたその時、ピアス型の無線機からコムイの声が流れた。
『アレン君、神田君が帰還したよ。今室長室に向かってるからね』
「ありがとうございます、コムイさん!ティム、コムイさんの所に行こうか」
神田が無事に帰還したと知らせてくれたコムイに一言礼を言い、アレンは自室のドアを開けた。
向かうはもうすぐ神田が着くであろう室長室。
ティムを頭に乗せ、アレンは廊下を歩き出した。
――――――
「いや〜、お疲れ様!無事帰ってきてくれて、僕は嬉しいよっ!」
「うっせぇよ、ボケ。ハズレの任務で誰が死ぬか」
多少棘のある言い方だが、イノセンスはなく、代わりにレベル3以下のアクマが十数体いただけだったのだから仕方がないだろう。
不機嫌丸出しの神田から報告書を受け取り、コムイはにこやかにアレンの話題を振った。
「そうそう!今日はアレン君も帰還してるんだよ。久しぶりだから嬉しいんじゃない?」
「は?アレンって誰だ?」
………what?
「いや、だからアレン君だよ?君が溺愛してる恋人!」
「知るか」
「……本当に知らないのかい?」
コムイの必死の説明虚しく、神田は知らんと切り捨てた。
マズい、これは非常にマズい。
アレンがこの事を知れば、確実に哀しむ事になる!
その前に何とかしなければと考えたが、遅かった。