よみきり集

□夕立な君
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君がいなくなった4年前…
その日もちょうどこんな夕立だったね。




暑いね〜なんて言いながら近くの公園、
手を繋いで歩いたりもした。

夜にただただ何をするわけでもなく一緒にベランダから空を見上げてたことのあった。





何も言わずに突然に私の前から忽然と消えてしまった君は元気でいるのかな。







ねぇ、君は知ってるかな?
自分で言うのも何なんだけどさ、私、変わったんだよ。
もう気づいたら4年だ。
君がいない間にまた少し大人になっちゃったんだよ。


でもきっと君だって私の知らない間に大人になっているんだろうな。




大人になるなんて嫌だな。
幼いころに持っていた汚れのない夢をいつか馬鹿馬鹿しいと思うようになって、













そのうち、忘れてしまうんだ。








…君はそんな夢と共に私まで忘れていくのかな?



未練がましい私はいつまでも君を忘れられない。









…ホント、未練がましいよ。







いまでも君のことを考えて泣きそうになる自分はすごく…






すごく、








すごく、


かっこ悪い。













――ザァ…




私は多分、気持ちの奥底で君のいなくなった4年間をずっとずっと泣いているんだ。


それは、現在進行中で。








毎日、毎日…




ずっとずっと。










今は、髪を濡らす雨も気にならない。


だけど、いつもいつも君のことばかり気にしている自分がいて。








こんな想いも雨で流れちゃえば…
夕立みたいにたくさん、たくさん降ってもすっきり晴れてしまえばいいのに。

そう思ってたくさんの雨が降っている大空を見上げる。







見上げてもまだ、大空が君のように思えて…









君もこの空のように泣いてるのかな…
なんて思う私はホントに未練がましくて。



夕立な君



解ってるよ・・・
この空に
手を伸ばしてもその手は宙を切るだけ。

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