N o v e l -long-

□First Love -"ごめん"-
1ページ/2ページ


色んな感情が渦巻き交差していく中、俺はどうしてもナミさんからの誘いを断れなかった。
自分から誘う事はなかったし、誘ったら駄目だ、そんな事をしたら益々ナミさんを忘れられなくなるという脅迫概念もあった。
それでもナミさんから誘われれば。好きな女に求められて、断れる男がこの世にいるのか。
俺は抱きてえ時に女を抱くし、抱きたくなきゃ抱いてこなかった。
欲求が溜まれば適当にナンパでもすりゃあ大抵は成功したし。

「求められたら拒むなんてことできねえよ。レディに恥をかかせるわけにはいかねえだろう?」

いつかナミさんにこう答えた事がある。
ハ、クソくらえ。レディにじゃねえ、ナミさんに悲しんでもらいたくなくて断れねえんだ。
…それもおかしい。断れねえんじゃねえな、…俺が、繋がりてえんだ。

ナミさんが俺を求めてくれる、必要としてくれる――凄く、幸せな事。

けど、俺はそうした夜を過ごす度に――ロビンちゃんを抱いた。
記憶を上塗りするように。

幸せな時間過ぎて怖い。この手で身体で、ナミさんを感じる度に湧き上がる愛しい感情。
早く忘れなきゃという思いが背中を押し、終わったら余韻を残す暇なくその場から出て行く。
一度だけナミさんが、

「朝まで…一緒に、居てほしいの」

酷く寂しそうな声で、そう言った。

『好きだ』

…それ以外に出てくる言葉がなくて、俺は無言のまま立ち去った。
それ以来、最初で最後。彼女からそういうお願いをしてくる事はなくなった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ