N o v e l -long-
□キューピッド キャップ -この男の魅力-
1ページ/2ページ
おいおいおいおい
俺は、
何してんだ?
「だからよ、サンジは、好きなやつ相手にどうするんだ?」
「…はぁ?」
口を開けばメシメシメシ。
肉にしか興味がねェと思っていた、単純馬鹿のクソゴム男、そう――ルフィの口から、まさかこんな話題が飛び出すとは思ってもみなかったのだ。
「なんだお前…恋、でもしたのか?」
だからつい、興味津々に。
「多分な!」
「…へーえ…」
会話に、乗ってしまったのだ。
「で?相手はロビンちゃんか?まさかナミさんとか言うんじゃねえだろうな?」
「先におれの質問に答えろよ!」
こいつにしては歯切れの悪い、多分という言葉。
いつもは質問したらすぐに答えが返ってくるくせに、今日のこいつは素直じゃない。
「あー?」
つまりこいつにも、恥じらいや悩める乙女心というものがあったという事だ。
「仕方ねぇな…」
可愛いもんじゃねェか。
「俺はな、」
無知そうなこいつ相手に、からかいたくなるのは当然だろ?
「セックス、するな」
ニヤリと。それはそれはすけべたらしい顔で。
「それは、してえって思うからか?」
「当たり前ェだ。好きな女見てたらそういう気持ちになって当然だ」
「当然か」
意外にも、動じず真剣に聞き入っているこいつがいて。
17ともなりゃ、まあ、知ってるか。
無知そうだと踏んではいたが、特別驚きもせず。
「ふうん…そうか。そうだよな。じゃ、おれする!」
「…は?」
だが、今度ばかりは驚いて。
「ま、まてまて…一応聞くが、何をだ?」
「セックス!」
くらり。目眩がした。
「馬鹿言うなよ!まさか今からしてくるとか言うのか!?」
「ああ!」
おい!冗談じゃねェぞ、何がああ!だ!
愛しのナミさんが標的だったらどうしよう!
悔しいが、ほんとに心底クソ悔しいが、相手がこいつじゃ勝てる気がしねぇ!
こいつの魅力は身を持って知ってんだ。
素直な、直球なこいつの想いをぶつけられて揺らがねぇ女がいるはずがねえ!
ああでも、でもよ!彼女を好きなのは、この俺なんだよ!
いや、だからといってロビンちゃんが襲われてもいいってわけじゃねえ!
逃げてくれ、俺の姫君たち!このケダモノから!
「行かせるかっ!お前何考えてんだ!」
行くとか言いつつ動かないこの男の腕を掴んで、
「いや、してくるっつーか…」
引っ張ろうとしたら、
「する、んだよ」
逆に、引っ張り返された。
「!?」
一気に世界が反転する。視界に映るのは、天井、明かり、――ルフィの顔。
「しし!おれの好きなやつって、サンジだ!」
「は――」
「多分って言ったけど、食いてえって気持ちが好きって事なら、おれが好きなのはやっぱりサンジだ!」
「いや…」
ただただ、呆然。
「だから、食わせろサンジ!」
また、
「なっ!」
目眩。
「好きだ、サンジ」
こいつの素直な、直球な想いをぶつけられて―――
「サンジ――」
近づく顔。
「ル、フィ――」
揺らがねぇ女が、いるはずがねえ…
「――…」
女じゃなくて、心底よかったと思った。
「頭冷やせクソ野郎がァアアっ!!!」
「ぶべっ!!!」