―BL―

□…困った子だ…
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陽当たりの良い部屋の隅で枢は読書をしていた。
だが全く持って集中出来ない。

それもこれも全ては"あの子”のせい。




「―――…」



枢はため息の変わりに小さく音をたてて本を閉じた。




「…零…?」

「………」


枢の見つめる先にはべたーっと床に寝転がっている零にゃんの姿が。

しっぽをぱたりと動かすだけで、他は何の反応もない。



「…そこは僕には眩し過ぎるんだ…だから…こっちへ来てくれないかい?」

「……ならずっとそこにいろ。俺が行く意味が分からない」



素っ気ない。本当に。

素っ気なさ過ぎて、向けられた背中を見つめるのが寂しい。

陽の光の元、気持ち良さそうに眠る君と、それを好まない僕。


この距離がたまらなく寂しいと感じる―――…









「おい」


沈んだ気持ちを引きずるように顔を上げると、いつの間にか零が目の前に立っていた。


「…変な顔してんじゃねーよ」

「…変な顔…?」

零は真顔のまま座っている枢に目線を合わせ、すっと手を伸ばすと手の甲で軽く枢の頬を叩いた。



「…いつもと違うだろ」
その言葉に、枢は零の手にすり寄る様にして小首をかしげた。


「…違うって…どうして?」

「顔に出てる」

その言葉に短く間をおいたあと、小さく呟いた。
「…………そう…」


枢は瞼を伏せたまま下方を見つめていた



悲しみや寂しさを他人に打ち明けることをしない枢は、いつもどこか寂しげだった。
けれど、彼のその気持ちを察することが出来ないわけではない。
許された者だけが知る、小さな隙…心の許し…



自分がしたことに対して見せるその表情は案外いいものだった。
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