―BL―
□甘い誘惑―tempt―
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でも
僕が欲に忠実になってしまったら、君が壊れてしまう。
『離せ…ッ!!…お前…ハァ…なんなんだ…突然…ぅ゛ッ…』
『零…』
僕の中の、獣が疼く…
本能で君を、身体中が欲しいと叫ぶ。
モゥ…我慢デキナイ…
枢の舌が零の首筋を舐めあげていく。
『やっ…ヤメロ!!』
零の抵抗も、今の枢の耳には届かない。
それほどに彼は、我慢していたのだ。
近くにいても、触れることさえ叶わない。
こんなに近くにいるのに、君は僕を拒絶する。
コノママ…君ノ血ヲ…
『っ…かな…め……』
『……ッ……!』
君ガ…僕の名前を…呼んだ…?
『…ぜ…ろ…?』
震えていた。
彼が。
まるで、子犬のように。
あぁ…僕はなんてことをしようとしたのだろうか。
彼に一番してはいけないことをしようとしていた。
君の運命を狂わせたあの人と同じことを…僕が。