―BL―

□甘い誘惑―tempt―
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『ッ…ぅ…ッくそ…!!』




月明かりが照らす裏庭――


神秘的な夜の世界の中、零は一人レベルE化の苦痛に身を歪めていた。



『……ッ…何の用だ、玖蘭…!!」


『…クス…ひどいね。そんなに僕のことが嫌い?』


枢は暗闇の中、どこからか現れた。


『嫌いだ』

『……即答か…』

『一体なんなんだ…用がないなら帰れ!』


『クス…怖いね、風紀委員さん』




知っているかい…?




『…ッ…』



君が苦痛に耐えるその姿さえ



僕は君を愛しいと思うんだよ?



そして



『…ッあぁ…!!』


苦痛から逃れるために足掻く君


息を切らして、その顔を歪めて。



『…君は残酷なことをするね…』


それは、僕を誘ってるの?


『ッ…なんの…ことだッ…』



ゆっくりと近づき、枢は零を見つめた。


『なんのこと…だって…?』



月明かりに照らされて、よりくっきりと、君の白い肌が見える。


君からはとても甘い香りがする。


そして君の僕を射抜くようなその瞳は、僕の欲を掻き立てるものでしかない―――



つぅ、と零の首筋に触れる枢


『ッ…触るな!!…?!!』


『だめ…無駄だよ』



耳元で低く、甘く、囁く。


枢を振り払おうとした零の手は、いとも容易く枢によって捕らわれた。


『は…なせッ…!!』


どんなに身をよじろうと枢から逃れる事はできない。
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