□銭湯
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「…恥ずかしくて出れないのかな……。ねぇ錐生くん」



くすりと笑って言う枢はイジワルそのものだ。




「…なんですかそれ」



あり得ないとでも言うように零は鼻で笑った。



「へえ…じゃあ自信があるんだ」



「………………どうしたらそう解釈できるんだ…」




呆れた様に零は力無く肩を落とした。





それから何度か勘に障る様なことを言われたが全て無視した。





「……………」






あぁ…


……熱い…………




つい反抗心からああ言ってしまったが体は熱を持つばかりでかなり限界がきていた。


だが自分が言ったことに対してのプライドか、特に玖蘭枢に対してということがさらに零を追い詰めていく。






暑さが苦痛に感じてどのくらい経ったのか。





零は少しだけ隣が気になりだした。




自分より後に入ったとはいえさすがにこれほどまでに浸かっていればあの玖蘭枢だって…………



そう思った時だった






「……………………」





零は隣を見つめたまま瞬き一つせず固まっていた。





そこには枢の姿は無く代わりにそのさらに横にいたおじいちゃんと目があった。





「よう入っとるのぉ。若いっていいねぇ」



「…………は、ハハ」





これにはさすがの零も苦笑した。











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