倉庫
□知らない
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今、私は後ろから追いかけてくる奴から必死に逃げてる。
別に何かした訳じゃない。
むしろ被害者だ。
なのにあいつは毎日しつこく追ってくるのでその度にあたしは逃げる。
一体この行為を何回続けただろう。
取り敢えず後ろで煩いアホ鳳を誰でもいいから止めてほしい。
「わかー!待ってよ」
「うるさい」
「止まらないと話が出来ないだろ」
「お前の話なんか聞きたくない」
「そんなこと言うなよ。ただマネージャーになって欲しいってお願いしてるだけだろ」
「ただじゃない!それに私は何回も断っただろ」
「却下!」
「ふざけんな!!」
あいつは何処まで我が儘なんだと言いたくなる程しつこかった。
人が折角昔からのよしみということで話だけは聞いてやってたが入るとなると話は別だ。
第一に私はテニス部が好きではない。
鳳の付き合いで見学に行ったことはあったが、あの取り巻きの女子たちといい、派手な感じといい全てが苦手だった。
それなのにそこのマネージャーになるなどもっての他だ。
少し疲れてきたので足を止める。
「あ、やっと止まってくれた」
「疲れた」
「そっか」
鳳は大して疲れていないらしく私の隣で平然と立っていた。
それが少し悔しくて心の中で悪態をつく。
「何で若はそんなにマネージャー嫌なの?」
「苦手なの。それにマネージャー希望の子なんてテニス部だったら沢山いるだろ」
「俺は若にやって欲しい。他なんてどうでもいい」
「何それ?大体テニス部マネージャー募集してないだろ?」
「それがさ、跡部さんたちも若にマネージャーして欲しいらしいよ」
「はぁ?」
何だそれ?
全く意味が分からない。
跡部さんとの接点なんて無いし、テニス部なんて言うまでもない。
私が関わる気がないから当たり前だけど…。
その跡部さんが何故私を必要とする。
本当に訳が分からなく、思わず鳳のことを凝視してしまった。
それに気付いたのかとても嬉しそうに説明を始めた。
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