倉庫

□伍千打記念
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昼を伝えるチャイムが学校中に鳴り響く。
号令と共に騒がしくなる教室と共に俺も昼飯の準備を始めた。



不意打ちキスだけじゃ奪えない



いつも通りテニス部の連中と屋上で食べる。
今日も日吉のおかず一口貰おうとか考えて屋上に続く階段を上っていく。


最近考えるのは大体あの生意気な後輩のことばかりだ。
気付くと今何してるのかとか、日吉の喜びそうなやつだなとか考えている。


ここまできて分からない奴など中々いないだろう。
そう、俺は日吉が好きだ。
何も行動を起こさないのは別にヘタレな訳じゃない。
断じてな!


そうこう考えていると目の前に屋上の扉が見えた。
思い切って開けるとそこには真っ青な空が広がっていた。
雲一つない快晴で最高に気分の良い眺めだ。


ふと気付くとフェンスに寄りかかり誰かがいるのがわかる。



「こんな所に誰だ?」


近づいてみると見知った顔だと分かった。
つい先程まで考えていた日吉が目の前で昼寝をしていた。
こんなに近いのに起きないところを見ると相当熟睡しているようだ。


日吉がここまで無防備なのは中々ないので思わずジロジロと見てしまう。


いつも真っ直ぐ前を見ている瞳は閉じられていて意外にも長い睫毛は今にもこぼれ落ちてしまいそうだった。
少し開いている口からは生意気なだけど凛とした声は聞こえなく、かわりに気持ちの良さそうな寝息が聞こえてきた。


穴が空いてしまうほど見ていたことに気づき慌てて顔を反らした。
顔が赤くなっていうのが自分でも分かる。
横でもぞっと日吉が動くのが分かり起こしてやろうと思いもう一度日吉を見る。


「日吉、起きろよ」
「…ぅ、ふぁい…」


ふぁいって何だよ。
寝ぼけているのか目を擦りながらぼーっと俺を見ていた。
普段のツンとした態度はなく寝ぼけている姿がいつもより幼く見えた。


「…むかひさん?」
「おはよ!」
「おはよ、ございます」


ふにゃりと力の抜けた笑顔をこちらに向けて呂律の回っていない挨拶をしてきた。
胸が高鳴るのがわかる。


思わず衝動に駆られて気づいてたら日吉の額に口付けを落としていた。
キョトンとしている日吉を見て我に返り足が縺れそうになりながらも屋上を飛び出した。


階段を下りる際、誰かと擦れ違った気がしたがそんなことは自分の中ではどうでもよかった。


あいつの普段は見せないような仕草の一つ一つが頭から離れない。
さっき自分がしたことは止められなかった。


「あんなの、反則だろ///」


不意打ちでした額のキスのせいで今もほんのりと唇が熱かった。




















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