遊戯王GX ~超越者の奔放戦記~

□第5話 月一昇級試験
2ページ/13ページ





 アカデミアを出てレッド寮が見えてきた頃にレッド寮前に奴の姿を発見した。

 くそ、どれだけ足が速いんだ!?


「おい、貴様! ちょっとまて!!」

「……ん?」


 やっと気づいたか、この俺様の手を煩わせやがって。


「おぉ、キミは確か!」


 ふん、流石の貴様も二度も俺の威光を見たんだ、少しは懲りただろう。

 まぁこの間の無礼はこれからの態度しだいで許してやっても……


「……誰だったかな?」

「なっ! くっ、万丈目さんだ!!」

「………あぁ、鳥頭君ね。」

「貴様ぁ!! いつもいつも、ふざけているのか!!」


 くそ、まぁいい今はコイツの悪ふざけに構っている場合ではない!!


「まぁいい!
ソレよりも貴様に良い話が有る!!」

「えぇ〜〜、なんだよ?」


 なんだその嫌そうな顔は、腹立たしい!

 いや我慢だ、万丈目準! 此処は我慢するんだ!!


「貴様、さっきパックをまとめ買いしていたな! その中に俺様の欲しいカードが有ればいい値で買い取りたい、どうだ!?」


 ふん、結局人は金と言う力には勝てん。

 そうさ、今までもこれからも俺の周りにはそんな奴らしか集まらない、”万丈目”と言う名を持つ俺に…


 俺は……俺を――


 ――俺と言う、“準”である個人を見てくれる奴など………


「ん、何だそんな事か。
なら、金なんかいらねぇから持って行けよ。」

「な、に………?」


 何だ……コイツは?

 俺は言値で買うと言った、他の奴ならば飛び付くはずだ!

 だがコイツは全く興味なさげに、金などいらないから持って行けと言った。

 思わず擦れた声を出してしまうが目の前のコイツは『まぁこの中に無いかもしれんから俺の部屋に来いよ、余っていたらやるよ。 ま、あんま高いのは無理だがな』といって、自分の部屋に向かって行く。


 その様子からアイツが行っているのは嘘とか冗談で言っているようには見えない。

 それよりも先程見せた、なんでもない当然と言った笑みが俺には衝撃だった。

 コイツは思っていたよりも嫌な奴ではないかもしれん、だが…―――


「……待て、どういうつもりだ?」

「なにが?」


 思わず俺は目つきを深くし、声が低くなってしまう。

 足をとめたアイツは不思議そうに振り返る、その表情は本当に何のことか分かっていなさ気なものだった。


「どういうつもりで、そんな事を言っているのかと聞いているんだ。」

「別に何も、ただ本気で強くなろうとしている仲間に手を貸さない訳にゃいかないだろ?
わざわざ、お前が嫌っているレッドの俺に頼みにまで来てんだ。」

「……なっ!?」










 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ