遊戯王GX ~超越者の奔放戦記~

□[第一章 七星編] 第1話 遊戯を継ぐ者と超える者
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― デュエルアカデミア試験会場前


 試験者受付時間はとっくに過ぎており、係りの人も疎らになって片付けをしている人しかいなくなっていた。


「すみません」


 ミナトは片付けに残っていた受付の係員らしき人に話しかける。


「君は?」

「受験番号37番の、“陸奥 ミナト”です」


 面倒臭げにゆっくりと答えるミナト。


「37番……っ!? き、君も渋滞なのかい?」

「はい、そうです」

「では、私についてきてください」


 真実は完全に寝坊によるものだったのだが、いけしゃあしゃあと嘘を吐き歩きだす係員について行く。



【嘘吐き……】


 すると、何処からともなく謎の声が聞こえた。


 その声はミナトのものでも、係員ものでも、他の人物のものでもなく、ミナトの懐の中から聞こえてきた。


「おい、セイバー……人前でしゃべりかけるなって」


 ミナトは小さな声でその声の主に返す。


【貴方が安易に嘘を吐くからです。 それに私の声は普通の人には聞こえません】

「あのな、……――(他の奴には聞こえないんだから、俺が声に出して一人受け答えしてたら独り言を喋ってるヤバイ奴だろ?)」

【自業自得です、大体テスト中に寝たりするから……】


 今度は口に出さず、心の中でセイバーと呼んだ声の主と話す。


「(仕方ないだろ、あの一件の所為で徹夜してたんだから。)」

【だからあの時--】


となりで騒ぐセイバーをよそに、
ミナトはのんびりとこれからはじめる、試験デュエルのことを考えていた。






 
 
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