遊戯王GX ~超越者の奔放戦記~
□[第一章 七星編] 第1話 遊戯を継ぐ者と超える者
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朝日が街を金色に照らし、鳥の鳴き声が遠くに響く街中。
行く人々が行き違い各々に通り過ぎていく町並みの中、一人の青年の姿があった。
「あぁ〜〜、眠っ…………」
光を浴びて綺麗に鈍く輝く銀髪を揺らす、赤いシャツ黒のジャケットを着た青年“陸奥ミナト”は欠伸をしながら小さく言葉をこぼす。
その瞳は完全には開かれてはおらず、今にも眠ってしまいそうなのにも関わらずその脚はしっかりと歩を進めていた。
「んん〜……アレは?」
薄っすら開いている瞳の先には奇抜な髪型をした青年が歩いていた。
銀髪の青年はその青年に近付き声をかける。
「朝早くからこんなところで何をしているんスか?」
「ん?あぁミナト君か、ちょっと今日は用事があってね」
奇抜な髪の青年は声の主を見ると微笑み答える。
「君こそ、何時日本に帰ってきたんだい?」
そう聞き返すと、ミナトと呼ばれた銀髪の青年は面倒臭そうに答える。
「丁度昨日……それが瀬人にちょっと頼まれ事をされて、アカデミアに入ることになったんすよ」
そう言った、ミナトの瞳にはなにやら危ない黒い光が見えた。
「はは、海馬らしいな………――おっと!?」
そんなことを話していると奇抜な髪の青年はいきなりの後ろからの衝撃によろめく。
どうやら、後ろで転んでいる栗色の髪をした少年がぶつかったらしい。
「うわぁぁぁ!? ご、ごめん!!?」
そう言うとぶつかった拍子に散らばったカードを一枚一枚丁寧に拾い集める。
「君、デュエルをやるのかい?」
「あぁ、デュエルアカデミアを受験するんだ」
集め終わったのか、立ち上がりこちらを向くと奇抜な青年を見て驚いたような顔を見せる。
「あ、あなたは……」
それを気にした様子もなく奇抜な髪の青年はカードを一枚取り出し、少年に差し出した。
「ラッキーカードだ、コイツが君の所へ行きたがっている」
「ふ〜ん……」
ミナトは意味深に鼻を鳴らし、少年は困惑しながらもそれを受け取った。
「あ、ありがとう……あっ、いっけね! 遅刻!?」
そう礼を言うと現状を思い出し叫ぶ。
「有難う御座いましたぁ!!」
そう言い頭を下げると、脱兎の如くそびえ立つ海馬ランドへと走って行った。
「元気だな……」
「と言うか、君も時間は大丈夫か?」
「大丈夫、もしこんなことで入学させなかったら……--
--そいつを社会的に抹殺するから……」
他人事のように呟いたミナトに問いかける青年、それにミナトは楽しそうに真っ黒な笑みを浮かべながらそう言い放った。
「………」
その笑みを見た青年は冷や汗を流しながらも何も言わなかった。
「冗談ですよ。
まぁ瀬人様々の紹介状もあるし、アチラさんもそうは行きませんって。
じゃあ、これ以上は本格的にヤバいので俺はこれで」
「……あ、あぁ。 またな、ミナト君」
そう言うとミナトは、青年に向かって手を振り海馬ランドへと走りだした。