In The Ugly World a Period

最終章 僕はただの馬鹿に成り下がる
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地には滴る



空には漂う







世界には悲痛なる叫びと、心を蝕む憎悪が広がる




それでも、そんな汚く崩れていく世界を、彼女は愛していた











ただ愛して、まもろうと想って歌った









彼女は世界へ手を伸ばした



彼女は血を流し現実から目を背ける人にも手を差し伸べた。



その手は、地を這いずり死を待っていた私にも差し出された











「私達と生きませんか?」








その言葉を信じ、彼女を信じて私はたたかった



世界と、すべてと





私は貴方のお役に立てたでしょうか?





ただわかるのは、眼前で貴方が泣いている事





私はお役に立てませんでしたか?





役立たずでしたか?






私は貴方に笑っていてほしかった、世界を光へと導こうとする貴方に




そんなか細い手で、貴方は世界をつかめるのですか?



そんな泣き虫で、貴方は頑張れるのですか?





そんなお綺麗なお姿で…貴方は…私は…









「死なないでください…お願いですからっ…!!」









滴るは


視界に広がるは










体には手遅れといえる深手を負い肌が白くなっていく



胸がジンジンと痛み異物感がある、それはきっと弾丸




怒ってますか…?


そうですよね、来るな、と言われながらも私は着いてきてしまった







ただ、貴方のお役に立ちたくて


ただ、貴方のお側に居たくて


ただ、貴方をまもりたくて







─私の勝手をお許しください







「      」









もう、声も聞こえない。



微かに見える貴方の泣き顔。



微かに感じれる貴方のぬくもり。




微かにわかる貴方の涙の味。



私には、充分過ぎる─








『          』










見えなくなる世界




最後に貴方が笑っていたのは、幻なのか否か




















見えなくなる世界で、君は笑う










手向けられる花は赤く、彼女の気持ちを現していた













貴方愛しています』と




 
 
 
 
 
 
 
 
 
    
     
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