コロシアイハイスクール−最強空白−


すべての始まりは物事の始まりを意味する。けれどその物事はその始めの号令と共に始めるのかもしれないし、もしかしたらもう実は自分が理解していないだけで始まっていたのかもしれないし、また、始めの号令が掛かっていても一つたりとも変化することもなく、サイクルは回り始めることはなく、物事が進まなかったりもする。そんなふうに、すべての始まりは物事の始まりも意味するし、もう始まっている事かもしれないし、まだ始まっていないことかもしれない。その号令を掛けたのが、彼女なのか彼なのかそれとも僕なのかは分からない。もしかしたら、三人が三人とも三人一緒に三人同時に号令を掛けたのかもしれないし、三人が三人とも三人一緒に三人同時に号令なんか掛けていなくて、僕たちとは何の関わりも、縁も繋がっていないような赤の他人がすべての始まりの号令を掛けたのかもしれない。四月、僕は、僕の友達の芳桜琥珀の依頼により「聖マリア女子学院高等学校」を偵察に行ったのだがそこで僕は絶句する事となってしまう。そこはすべてが歪み、割れ、狂い、何もかもが「正常」ではなかった。そこではあり得ることのない生徒の殺し合いが行われていた。そこで神と祀られている一族、人に飢えた人飢い一族の外されし者、指をありとあらゆる事に使いこなす指使い一族、敵・味方関係なく騙しを騙す騙し屋最強殺し屋一族、そしてー…最強・赤色・青色との異名をも持つシニカルな笑みのあの人。そんな闇の住民の世界に一歩どころではなくもう何千歩と入ってしまった僕は今回の事件で僕の人生最大のすべての始まりが始まる事となった。けれど前文でもいったとおり、もう始まっていたのかもしれないし、まだ始まっていないのかもしれない。だけどこの僕が戯言を言っている時点でもう僕は死んでいるような存在なんだし、今更すべての始まりが始まったとしても僕の人生・感情には何の利害も損害も干渉もなくただの出来事でしか捉えきれなくてー……
                       …END…

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