多分男鹿と古市の話。
まだ男鹿しか出ません。





名前?
俺の名前?

さあ、何だったかな。知らねーな。そもそも小さい頃から人に嫌われてきた俺に名前なんかあると思うか?名前を付けてくれる奴がいたと思うか?

産まれた時から俺は自由を許されず、毎日殴られたり蹴られたり、たまには棒で叩かれたりとか鞭で叩かれたりとか。まあ生憎俺は暴力を受けて興奮する質じゃねーんでそれはもう苦で仕方なかった。
なんで自由を許されなかったかっつーとまあ俺は最強だからってことで、それを妬んだ粕共はやがて集団で俺を拘束し、後頭部を殴り失神させ、監禁、された。

それから毎日、暴力を受けた。

動けないことを良いことに。抵抗出来ないのを良いことに。大人ってのは汚ぇと痛感した。
顔や身体にアザが目立ち始めた頃。死んでもおかしくない位の罰にも慣れ始め、悲しいなんて感情はどこかへ消えた。夕焼けに響く子供のはしゃぎ声と共に。


………
……



大きな声で叱られた後に普通に接せられたら、何故か今までよりもすげー優しく感じるとか、雨に濡れた手を触れられるとすげー温かく感じるとか、小さい頃から独りの俺は知っている筈がない。ずーっと独りだったから毎日が寒かった。身を縮こませて過ごしてきた。

こんなつまらない人生を生きる位なら、…死のうかな。

たまにこんな考えが頭をよぎるが、死ぬ程の暴力を受けても死なない最強の俺はどうしようもない。


「あー、馬鹿馬鹿し」


大きな欠伸をし俺は目を閉じた。眠ろうと思った。

(夢が見れないのに眠るなんて、)

ただの瞑目に過ぎねーな。

夕焼けの赤が消えるのを感じながら俺は静かに息を吸った。











12.0524
続きます。
この時点で元ネタが分かった人は音色さんとお友達になろう。

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