海
□閉ざされた魂 9
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「(まったく気味の悪いガキだな)」
「(本当だよ。ここから出て行ってほしいもんだよ)」
――
『…ぅぅ……………パチ………』
街での騒動の後モビーに戻ってきたマルコ達。名無しさんを医務室へと運び船医とナースに治療を任せ、マルコは1人「オヤジに報告してくる」と医務室を出て行った。サッチやエースは黙って名無しさんの横に居た。
それから隊長会議が行われ名無しさんの力が伝えられた。会議後入れ代わりに隊長達や船員達が見舞いに来ていた。
名無しさんが眠ってから3日目の事。ようやく目を覚ました。
「名無しさんッツ……名無しさん…わかる?」
『………ア…リス』
「そうよ。良かった………ッツ……」
傍でずっと看病していたアリスが、目を覚ました名無しさんに声をかけ、返事が返ってきた事に安心し涙ぐんだ。
「おお、名無しさん目を覚ましたか……気分はどうだ?」
『……だいじょうぶ』
そう言って診察を始める船医。
「よし、もう大丈夫と言いたい所だがな………名無しさん……栄養不足に疲労が溜まってるから、そこを治せば問題ないだろう」
『……ぅん』
優しくいう船医にポンポンと頭を撫でられればコクリと頷いた。
それからアリスにより名無しさんが目覚めた事が伝えられた。
モビーには前のように平和が訪れた。
――医務室
名無しさんが目を覚ましてから1日。まだ本調子ではない名無しさんは医務室のベッドに居た。普段は隊長達や船員達、ナース達が名無しさんが寂しがらないように入れ代わりで顔を出しに来ている。
『…………』
「名無しさん、疲れた?」
『………フルフル』
前のような元気がない名無しさんに医務室に来ていたマリーが聞いたが名無しさんは首を横に振り『大丈夫』と答えた。そんな名無しさんを心配したマリーは
「名無しさん、少し休みましょ」
と言って起きていた身体をベッドへ横にした。
そして医務室の扉に「面会謝絶」の紙を貼り、医務室を後にした。
医務室に残った名無しさんは1人街で起きた出来事を思い出していた。
『(みんなに、また……ちからをみられた……めのいろがかわるなんて……やっぱりへんだよ……きらわれたくない………きらわれたくないよ………アリス………ギュッ……ッツ…)』
名無しさんは力を使うたび嫌われ者になるかもしれないと恐れていた。1つだけの力ならいいものの…名無しさんは3つもあったのだ。街で天井が崩れて来た時は咄嗟だった。皆が自分を見て動かなくなっていた為壁を元に戻さなきゃと必死になってしまっていた。
毛布に包まり毛布をギュッと握り泣きたいのを我慢していると…優しく頭を撫でられた。
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