03/09の日記

13:26
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泣き化粧の仮面を
付けた旅人の道化師は
生まれたときから
1度も泣いたことがありませんでした

「母親が死んだ日も平然と祈りを捧げた
アイツは人の子じゃない」
誰もがそう云いました

彼は旅に出ました
亡き母が残していった
美しい顔を塗りつぶして
一粒の涙を描いて
自分の涙でしか洗い流せないように
彼はその仮面に呪いをかけました

旅の途中ある街で
不思議な3人に出逢いました
知恵を持つ男と力を持つ男と幼い少女

運命に導かれた4人の旅が始まりました
彼は生まれてはじめて本当の仲間を見つけました

時は経ち
旅の果てに
彼は仲間を守るために自分の身を捧げました

眩しいほど青い空から暖かな雨が
一粒二粒彼の頬にこぼれ落ちてきました
見上げれば幼い少女が泣いていました

「泣かないで
僕は君のソバにいるのだから」

彼が目を閉じたとき
突然その泣き化粧が
音もなく消えてゆき
そこには幸せそうに微笑んだ
とても美しい人が眠っていました

閉じた瞼の渊に
一粒の涙を残して

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