二次創作

□【ヒナギクさん家の悩み事】
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最近、ヒナギク母には悩みごとがある。
今、社会を悩ましている景気低落、による我が家の危機…ではない。確かに不安があるが、まだ我が家はその影響を受けていない。
じゃあ、離婚の危機か。それこそ論外だ。パパとはいつもラブラブ(死語)で浮気(パパが)でもしない限り、離婚なんてするはずがない。そして、娘思いのあのパパが浮気をしようなんて考えもしないだろう。

では、何に悩んでいるのかというと…

ドン、ドン、ドン

階段を降りる足音が聞こえた。頭の中で警音がなる。

来たっ!!

「おはよう、お母さん。」

「おはよう。早いわね〜」

「そんなに早く無いわよ」

まだ眠気のある目をして冷蔵庫に向かう愛娘に、「今日もね…」と一つ苦笑い。

そんな母親の様子にも気付かずに、娘は冷蔵庫から魔法の秘水を手に取ると、コップにうつさずにグイっと一気に飲み始めた。
その量なんと1リットル。
それをゴクゴクゴクと、たいらげる。

「プハっ」と全て飲み干してしまった我が娘は空の容器を見せ、言い放つ。

「無くなっちゃった。ごめん、今日も多く買ってきてくれない?」
ヤッパリと、何処か諦めた感じでそれに了解すると、娘は用意した朝食をとり始めた。

まぁでも、気持ちは判らないでもない。女の子なのだ。だから、気にするなという方が無理な話で。

ヒナギク母の視線はある一部分に注がれた。

平原のようなそれは、同年代の女性と比べて少し、いやかなり足りないと思う。別に膨らみが無いわけではない。ただ、見えないと言うだけのことだ。
良く言っては着痩せをする。悪く言っては、ぶっちゃけ貧乳。

そんな身体をする愛娘、桂ヒナギクにヒナギク母は遠い目を向けていた。

だけど、女の子は胸だけじゃない。我が娘は容姿端麗、頭脳明晰なのだ。そんなヒナギクに女性の魅力が感じられないわけがない。

何故か不機嫌になる視線を感じヒナギクは怪訝しげに尋ねる。

「ん!どうしたの?」

「ヒナちゃん!!」

名前を言われると共に、ガシっと肩を掴まれた。

「えっと…何?」

自分の母親の突然の行動に戸惑いを覚えながらもきき返した。
だが、次の母の言葉に何も言えなくなる。

「女の子の胸じゃないよ。」



ほ、本当は「女の子は胸じゃないよ」だ。
自分が言った過ちに気付かないまま、満面の笑みをヒナギクに向ける。

たゆんと、その胸が揺れた。その一点だけを見ていたヒナギクはおもむろに席を立ち、

「う、うわぁ〜〜〜ん」

泣きながら家を出て行った。

取り残されたヒナギク母は未だに自分の過ちに気付かずに、走り去ったヒナギクに疑問を持った目を向けるのであった。

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