SPIRIT

□第10章 水の怒り
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「それについては私がご説明しましょう…」
「ケムエル殿…」
「ビックバンはご存知ですか?」
「宇宙が生まれた大爆発?」
「はい。」

その直哉の様子を見てケムエルが口を開いた…ここにいる全員に全てを知ってもらう為に。

「そのビックバンで生まれた鉱石の名…それがミクロマーナー、そして宇宙の中心コスモスにある巨大なミクロマーナーの結晶宇宙の命(ライフ)がこの宇宙を正常に保つ者として生み出したのがレイン様です…」
「ミズキが、ミクロマーナーから生み出された?」
「はい…そして宇宙の命(ライフ)命がレイン様なのです。
宇宙の命(ライフ)は宇宙の命そのもの…レイン様の精神が消えると宇宙の命(ライフ)も消えてしまう…宇宙の命が消えれば宇宙は消滅してしまうのです。
レイン様はミクロマーナーの意思により、生命が誕生したこの星に私たち天使と、人が生きるために必要なエネルギーを生み出すスピリットと呼ばれる花を贈られました。」

その場にいた全員が信じられない話に驚愕した…しかしケムエルは話を続けていく。

「今から2万年と少し前…この地球が滅びる事態が起きました…スピリットの花は全てその戦争によって枯れ、地球は完全に消滅する直前となったのです。
その時にレイン様の守護天使をしていたのがルシファーです…」
「ルシファーが元はミズキの守護天使!?」
「はい…その以前、人間世界は寒波、日照り、水害など恐ろしい程の災害に見舞われていたのです。
そしてそれを回避する為に生み出されたのが精霊です。
初め人々は精霊を崇め、私達天使と共に共存しておりました…しかし、人々は次第に己の欲に駆られ、精霊を我が国の物にしようと戦争を始めたのです。」

全員がその場で静まり返っていた…静かな待合室でケムエルの声だけが響いている。

「スピリットは怒り、憎しみなどの混沌を浴びてしまうと、直ぐに枯れてしまいます。
そしてその戦争でスピリットの花が枯れた事により地球は光も差さず、草木も生えぬ死の大地へと成り果てました…」
「じゃあ、なんで俺達は…」
「それを救ったのがレイン様です…肉体がたとえ消滅しても、コスモスで再生される…ルシファーにそう告げてこの地球を救ったのです…」
「もしかして、ルシファーが人間を憎んでるのって…」

ケムエルの話が響く中、巧はある事に気付いた…ルシファーが人をあれだけ憎む訳を…そして、他の堕天使も含め何故関係の無い人間まで巻き込むのか…
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