SPIRIT

□第10章 水の怒り
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「ロスで重傷を負った時もその術を使ったのか?」
「私が現場に着いた時にはもう聡たちは亡くなっていて、海月も既に血塗れだったの。
私が見たのはヘルヴィムへ撤退する堕天使達よ。」

ディーヴァ警視総監がロスでの事を口にするが、エルザは全てが終わった後、現場へは来ていたが、既にルシファーは地獄の業火で倒れていたので、直接見たわけではなかった。

「ティアは確かに使ったのは闇属性の最上級唱詠術って…」
〔それは間違いありません…〕
「シルヴィア!!」
〔私はその場におりましたので…あの時使ったのは間違いなく闇属性の最上級唱詠術です。〕
「それじゃ…今回は何故…」

エルザはあの時ティアから全てを聞いていたのだ…記事では現場を目撃した事になっていたが、実際に目撃していたのはティアだったのだ。
そこへシルヴィアが現れてあの時の事を説明する。

〔今回は、恐らくリーンカーネーションを使い続けた結果です…〕
「そうか!!俺達と出会った頃に既に2回使ってる!!」
「何!?」

シルヴィアは静かに答えた…その時、巧はあの時の事を思い出した。

〔そして、主はロサンゼルスで既に6回お使いになられています…〕
「という事は今までに9回も!!」
〔はい…〕

ティアやシルヴィアを含む精霊達は全て知っていたのだ…しかし、今まで全て海月に口止めされていたのだった。

「シルヴィア…なんで知ってて…」
〔主は、ルシファーを堕天させてしまったのはご自分の責任だと仰っていました。
だからこそ、全て転生させていらっしゃったのです。
私を含む精霊、そしてバリエルはもちろん止めました…ルシファーが堕天したのは主が原因ではないと…〕
「つまりミズキがティアや精霊達に口止めしてたって事か…」
〔はい…〕

シルヴィアはもうこれ以上は隠せないと思ったのだ…そして静かに話し始めた。
その時、今まで一切口を開かなかった直哉が口を開いた。

「あと、1つ聞きたい…さっきティアはミズキが死ねば世界全てが消滅すると言った…あれはどういう意味だ!!!」
「直哉…ここ病院だから…」

直哉は先ほどティアが海月の盾となろうとした時に叫んだ言葉を聞いていた…海月からそのような事は聞いていない。
シルヴィアに向かって怒鳴る直哉を巧が制止するが、直哉が治まる気配はない。
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