SPIRIT

□第5章 決断
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「巧…何やってんの?」
「やっぱり…今日ミズキの両親の命日だ。」
「ってことは昨日の事を気にしてるんじゃなくて…」
「法事で休みって事?」
「でも、あんな言い方…」
「ミズキ、直哉の好みだもんね。」
「まぁ、あそこまで突っぱねられたら、俺達にはどうにも出来ないでしょ…」
「いーや、何と言われようと俺は諦めるか!!」

昨日の事もあり、授業を受ける気になれなかった4人は会議が長引いている事にし、朝から授業をサボっていた。
その頃、警視庁では昨日の血痕の主をDNA鑑定で割り出し、騒ぎになっていた…

「殿橋警部…昨日の鑑定結果が出たと…」
「結果は…」
「はい…実は…」
「何だ早く言いたまえ…」
「は…はい…い…以前警部の息子さんと一緒にいらっしゃった友達のものと…」
「何!?」

その言葉に殿橋警部が部下から書類を奪って目を通す…

「この血液…輝樹くんのか…」
「はい…年齢は17歳から18歳…本籍は静岡県富士宮市で、以前殿橋警部の息子さん…直哉くんと一緒にいた高校生の物と…」
「という事は、警察に予告状なんぞを持って来てたのは間違いなく直哉だろう…
しかし、あの出血量心配だな…」

部下の刑事は最初に予告状が送られて来た後に忘れ物を届けに来た直哉と一緒にいた輝樹を見た事があったのだ…
殿橋警部は以前直哉が自宅に連れてきた際に輝樹を顔をあわせた事があった…
その時に自分が警部である事は明かさなかったものの、
複雑な気持ちになりながらも部下に指示を出そうとしていた…

「待ちたまえ…殿橋警部…」
「奥田警視総監…全員敬礼!!!」
「まぁ堅くならぬとも良い…ロス警察のディーヴァ警視総監から先ほど電話があった…
その少年達…逮捕してはならぬ…」
「はぁ…」
「殿橋警部…ご子息の学校に留学生が来ているという話は…」
「はい…息子から少し聞きましたが…」
「その人物…ロス警察の特殊部隊に所属している女性捜査官だそうだ…
しかし、彼女は警察及び他の人間が事件に関わるのを嫌っているそうでな…」
「それで一向に連絡が…いや、昨日はっきり断られましたが…」
「恐らくご子息が予告状を送りつけて来ていたのは父親である殿橋警部へ無意識に助けを求めていたのではないかね?」
「直哉の性格上、それは有り得ないと思いますが…」
「まぁご子息の性格というのも有るとは思うが…盗聴器を仕掛けられて気づかないようではまだまだ甘いぞ…」

奥田警視総監は、殿橋警部のワイシャツについていた盗聴器を取り笑っている。
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