SPIRIT

□第17章 奪還
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---人間世界---
卒業式1週間前…海月たちは生徒会の引継ぎに追われていた。
更に仕事に追われる日々が続き、義和は良く朝から生徒会室に篭っては爆睡していた。

「会長!!また生徒会室でサボってましたね!!」
「ごめん…疲れちゃって…」
「仕事減らしてもらったらどうですか?」
「これでも減らしてもらってるんだよ…」

海月たちが資料を整理していた所へ書記の秋月と運動部役員の倉沢が義和の担任から聞かれ生徒会室へとやってくる。
しかし、このところ連日で夜遅くまで仕事がビッチリ詰まっており、義和も寮に戻れない日が続いているのだ。

「しかし、これじゃヤバいよな…」
「社長に頼んでみるか…」

巧と直哉は義和の状態を見てさすがにマズいと思っていた。
自分達は海生大学に進学する予定だが、義和は生徒会長に仕事と堕天使討伐まであるのだから無理はない。

この日から万が一に備え、エレメンタルも常時人間世界に待機していた。
ヘルヴィムでバリアントが生まれた反応は今のところ出ていないが、セリウスがいるので隠しているだけかも知れないと考え、直哉たちも仕事の合間を縫って訓練を怠らなかった。

---ヘルヴィム---
「ルシファー様…ついにやりましたぞ…」
「生まれたか…バリアントが…」
「はい…一応スピリトゥスに感知されぬよう結界装置を回りに配置しております。」

海月の予想は当たっていた。
生まれたバリアントは結界装置の中でセリウスたちに成長促進剤を投与されていたのだ。

「どの娘が生んだのだ?」
「ルシファー様がレインに瓜二つだと寝所に繋いである娘です。」
「セリアか…という事は我の子か。」
「はい。」
「面白くなってきた…その子は男か?女か?」
「女児でございます。」
「ならばアルヴィン同様英才教育を叩き込め。
名前は…そうだなサアラがいいな…」
「承知いたしました。」

ルシファーは更に不気味な笑みを見せる。
セリウスが立ち去った後、後ろにある氷漬けのレインの前に立ち高笑いを始めた。

「姫巫女殿…もうすぐ貴女は私の物になる…
人間世界を全て滅ぼし、私はこの世界の神となるのだ!!!
長かった…2万年以上前から貴女に恋焦がれ、ついに私の物となるのだ…」

王座の間にはその日ルシファーの笑い声が響き渡っていた。
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