SPIRIT

□第8章 創生の歌
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「おーい巧!!」

突然入り口の方から声が聞こえ全員声のした方を見る。
そこには海月の知らない海生の制服を着た男子生徒がいた。
ミニスカポリスの格好だった海月はビックリして慌てていた。

「渚…なんでここに…」
「用事があったんだけど、理事長に聞いたらここだって。」
「ミズキ…慌てなくていいから…あいつ俺らの事知ってるし。」
「でも私の事は知らないでしょう…」
「例え知っても軽蔑するようなヤツじゃないから大丈夫。」

渚翔、現在輝樹と同じクラスの作曲家。
3組は元より特待生の集まりである。
そして、巧と直哉の小学時代からのクラスメイトでもあった。
もちろん、彼とて海月の事は知らないが、うすうす感づいていたようで驚きすらしなかった。
ティアを見ても驚く様子もなく笑っている。

「で…ここに来たって事はアレ使いにきたの?」
「あぁ…流石にこの時間、宅録は無理だからさ。
ついでに輝樹にもお願いしたいなと思って。」
「前もって連絡してよ…」
「まぁ輝樹…いつもの事だ…」
「ところで、留学生…君は歌えるの?」
「え!?」

その直後、渚は海月に迫る。

「そういえばミズキの歌って聞いたことないよな…」
「コーラスで歌のうまい女の子捜してるんだけどさ、なかなかコレだって思うような歌声の持ち主がいなくてさ…」

もちろん突然の事に海月はパニックになる。
特殊部隊の仲間とカラオケなどに行ったことはあるが、表立って歌った事はない。

「で、今きたの?」
「いや、10分くらい前。」
「10分くらい前って言うとミズキがレインにチェンジしてた頃…」

渚はバッチリ海月がレインの姿へ戻るのを見ていたのだった。
しかし、相変わらず驚く気配もなく…海月は渚がいた事に気付いていなかったのだった。

「で、歌は?」
「ミズキの歌って聞いたことがないよな…」
「あぁ…料理が出来ないのは知ってるけど…」
「直哉くん…それは禁句…」
「え!?」

その言葉にティアは巧や渚たちを連れて直哉から離れた。
海月は料理が出来ない事を相当気にしており、過去スピリトゥスでこの事を口にした天使は確実に重傷にされていたのだ。
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