SPIRIT

□第18章 最終決戦
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そして、3月1日、海生大学付属高等学校卒業式…
既に午前中から学校の屋上にはスピリトゥスと人間の合同軍が身を潜めていた。
そして、殆どのマスコミは撤退していたものの、
以前海月たちを突撃取材したリポーターの原田さんとカメラマンは未だ海生高校に張り付いていた。

「卒業証書授与…」

1組の卒業生から順に名前を呼ばれていく
勿論だが、海月は既に高校を卒業しているので、一緒に卒業生の席にいるものの、卒業はしない。

「以上、卒業生264名…代表、大久保 巧」

巧が壇上に上がり、全員分の卒業証書を受け取る。
本来なら予行練習の通り、理事長はこの後壇上から降りる筈であったが、
一向に降りる気配はない。

「今日、特別に来ていただいた来賓の方を紹介しましょう。
都立東高等学校校長の佐山校長です。」

もちろんコレに驚いたのは亜理紗である。
以前より東高校校長が考えていた事であるが、
理事長に話を持ちかけ、この日亜理紗にあるプレゼントを用意していたのである。

「3年1組九条亜理紗…壇上へ…」

名前を呼ばれ壇上へと上がっていく亜理紗を皆が見守る中、
東高校の佐山校長がもう1枚の卒業証書を手にし読み始める。

「…都立東高等学校 校長 佐山昭信…」

亜理紗はあの日、自分には母校が二つあるんですよと笑っていた。
それを見た校長は一昨日行われた東高校の卒業式の際、
亜理紗はいなかったものの卒業証書を用意していたのである。

「九条…卒業おめでとう。」
「ありがとうございます。」

卒業まであと4ヶ月を切っていた時期に転校をした亜理紗は
理事長の計らいで東高校の制服のまま学校に通っていた。
そして、校長先生は東高校の制服で式に出た亜理紗に東高校の卒業証書を手渡した。
その後、巧の答辞、義和の送辞と続き、理事長の話が終わると卒業生達が各クラスへと戻っていく。

教室に戻り、担任から1人1人卒業証書が手渡される。
しかし、海月の卒業証書はない。
最後に担任から卒業おめでとうと言う言葉を貰い、それぞれ帰宅の準備を始める。

「ミズキくん、ちょっとこっち来てくれない?」

海月が女子生徒達に連れ出されたのを見計らい、男子達も直哉を別の部屋へと連れいてく。
巧は突然の出来事に訳が分からず疑問を浮かべていた。
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