短編3

□ワタシはイイ女
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「陽毬…」

そう愛おしそうに妹の名前を呼ぶ冠葉。
今は私と一緒にいるというのに。


「妹さんが心配?」


「なに言ってんだよ、今はお前といるんだぜ」

嘘つき。
心にも思っていないくせに。

冠葉の心には私なんか全然いない。
弟の晶馬くんのことか妹の…陽毬ちゃんのことばかり。


「お前こそ、なに考えているんだ?」


「冠葉のことよ」

えぇ、冠葉のこと。
あなたの考えていることなら大抵のことはわかるわ。
だって、簡単なんですもの。
妹のことばかり考えていて…。

どんなときでもあなたは「陽毬」と呼ぶわ。
ねぇ、知ってる?

冠葉は私のことを名前で呼んだことがないことを。



でもね、他の女と私は違うわ。
冠葉の女遊びを私は許すもの。

たとえ、他の女といても心は許さないでしょう?

そう…私でさえも…。


あなたが唯一の心を許す相手が妹だものね。

法律的に言えば、絶対に結ばれぬ相手。

だから、私は冠葉がどんなに女といても、妹のことを想っていても…全てを許すわ。

冠葉が幸せになることは絶対にないのだもの。



さぁ、早く諦めて私に堕ちて?









(陽毬…元気でいてくれ…)



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