紅血鬼宮
□第六話/誰何の陰謀
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「ていやー!!」
私達は玄関へと向かっていた。
途中にうじゃうじゃ居座る吸血鬼達を、
望月先生は殴り蹴り、
小夜と愛は箒の柄で叩きながら、
出口へと向かっていた。
「居すぎでしょ、何が、何でも!」
愛が文句を垂れながら、箒で吸血鬼を叩きまくっていた。
「先生、この人達はもう人には戻れないんですか?」
小夜は日常でよく見る人達に、ごめんなさいと思いながら、箒の柄で容赦なく叩きながら言った。
「いや、幸い、どいつもこいつも血はほんの少ししか入れられてないみたいだ。
その証拠に……
自我が無さ過ぎるだろ」
「血だけを求めて襲ってくる…ってことですか?」
「コイツらは中途半端に血を入れられた『奴犬』ってやつらだ。ただの欲求だけで動く雑魚なやつらだ。吸血鬼の血が少量だから、それだけをとれば人に戻れる範囲だ」
また、吸血鬼のなり損ない『奴犬』が、大群になって襲ってきた。
「これじゃラチがあかん。二人とも、先生の腕に掴まれ!」
どうする気なのかわからなかったが、とりあえず小夜と愛は言うことを聞き、両腕に掴まった。
「放すんじゃないぞ」
そうつぶやいた瞬間、
「どぁっ!!?」
「きゃあっ!!?」
望月先生は全速力で走った。
奴犬達の上を。
「ヒャッホー!!」
「ガッ!」
「ゴッ!!」
奴犬の頭を足で蹴り、玄関へと向かっていった。
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