紅血鬼宮
□第四話/再会と再開
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ここはどこだろう?
何だか眩しい。
朝かな?昼かな?
太陽が出ているのは間違いない。
自分は仰向けになって寝ていたようだ。
床は硬い。
布団じゃない。
家の匂いじゃない。
じゃあここはどこ?
ゆっくりと目を開けた。
白い壁、アルミサッシの窓、長机、丸い椅子、そして独特な臭い……
化学実験室。
あれ……?
何でこんなところに……?
思い出そうとする。
朝自分の家で起きて、朝ご飯食べて、家出て、今日も普通に学校に来て、教室に入った時に愛に宿題の事教えてもらって、宿題必死でやってたらチャイムが鳴って、島田先生が入ってきて、出席を
「!!!!!」
そこで思い出した。
ここにいる経緯、あったこと全て。
そうだ確かここで山寺先生に襲われて……
しかし、
ガラスが飛び散って、
机の上の物がぐちゃぐちゃになって、
血の海になっていた情景は、
そこにはなかった。
実験に使うガラスの道具は綺麗に置かれ、
机の上の物は整理されて置かれており、
血も一滴も飛び散ってはいない、
襲われる前の、もとの綺麗な状態だった。
そして山寺先生を刺したカエルの解剖用のナイフも、綺麗に箱にしまわれて、机の上にあった。
手元には、気を失う前に確かに握っていたナイフはなかった。
刺されて狂い、もがいて叫んでいた山寺先生もいない。
制服の斬られて裂けた所も……
斬られたはずの傷も……
服に染み込んだ血も……
綺麗になくなっていた。
いや、なくなったのではなくて───
はじめから何事もなかったかのような───
そんな有り様だった。
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