紅血鬼宮
□第三話/首魁の血、朦朧
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口からは血が垂れている。
そこから覗く、鋭い二本の犬歯。
山寺先生は今日学校に来てなかったんじゃ……!
山寺先生は両腕を広げ、しがみつくように襲いかかってきた。
「ひっ!!」
スカッ
何とか小夜は横によけた。
ガシャン!
机の上のガラスの道具が落ちる。
小夜は足がすくんでその場に座り込んでしまった。
先生は呻く。
「もう、もう、耐えられない……血を……血を…!!」
次は人では無理だろうというほど上へ跳んだかと思えば、
「ヒャハハハ!」
上から小夜目掛けて襲ってきた。
「ひいぃー!!」
小夜は精一杯の力を出し、手を動かし足を動かし、なんとか立って足を使ってその場から離れられた。
山寺先生は獣のように着地する。
狂っている。
山寺先生は今までの吸血鬼とは明らかに違っていた。
漂う空気。
俊敏さ。
狂気にあおられた顔。
歓喜。
全てが人外。
まさか、山寺先生が…!?
この事件を起こした犯人!?