紅血鬼宮

□第三話/首魁の血、朦朧
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はあ…はあ…


まさか鈴木君も斎藤君ももうやられてたなんて…

人間不信になりそうだ。


はああ……


吐息をつくと、体の全ての力が抜けて、へなへなとその場に座り込んでしまった。


とても、怖い。


あとどれくらいの人が残っているんだろうか。

あの化け物に血を吸われたら自分も化け物になってしまう。
それが連鎖して、さっきまで人が暮らしていた場所は、今この学校は吸血鬼で埋め尽くされている。

そんな吸血鬼みたいな話あるわけがないと皆が疑わない事が、本当に今ここで起こっている…

とても信じられない。夢ではないかと疑う。当たり前だ。そんな事有り得ない。

でもこれは現実だ。

頬をつねる。痛い。

確かな、今起こっている、信じがたい、
現実。




でも学校で急に吸血鬼が増えていった。
ということは、この事件には、学校に侵入してきた吸血鬼の存在が明確になる。

その吸血鬼が入ってきて、人の血を吸ってしまったから、こんな最悪な事が起こってしまった。

ある意味そいつが一番手強いんだろうな。じゃあそいつがラスボスか。

…意味わかんないや。





小夜は部屋を見渡す。

水道が付いた長い机が数台。そこに丸椅子が並んでいる。
壁際の戸棚の上には、ガラスのフラスコや棒、何に使うのかよくわからない奇怪な形をした道具がズラリと置いてあった。

ここは化学実験室。

名前の通り、薬品などを使った実験をするところだ。

その部屋の一番前の黒板に視線がいく。
黒板は2層式になっていて、化学式や文章、そして謎の絵……
その横には"カエルの解剖"と書かれてあった。
今の時期はカエルの解剖をしているようだ。


小夜は立った。そろそろと部屋を歩きながら、化学実験室の隅々まで見渡す。

この部屋には誰も居なさそうだ。


そうしてきょろきょろとしていた時、





急に場の空気が変わった。

背中を撫でるような、寒気がする。



そして、



「ぐヘッ」




後ろで声がした。





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