紅血鬼宮

□第二話/血の逃走劇
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小夜は必死で廊下を走る。



あちらこちらに吸血鬼になってしまった人達がうろついている。


まずはこの化け物が密集している校舎を抜け出さなければ
一生逃亡を続けなければいけないことになる。

小夜が居るのは一番上の三階。
窓からでるのは無理だ。

小夜は階段に走った。



この学校は北館と南館を一本の渡り廊下が結ぶという造りの、H型の校舎だ。

階段は北館と南館の端と
南館の真ん中にある。



小夜は一番近い南館の階段に向かう。





前には血を求めさ迷う吸血鬼になってしまった生徒達、先生が居る。


しかし小夜は退かない。

(退いてもここには逃げ場はない───!)


どこの教室も皆逃げたのか、居るのはゆらゆらと徘徊する血を吸われた奴ばかり。



と、構わず走っていた小夜に、

「ヒひッ!ヒャハ」

血を吸われた生徒が襲ってきた。


もう力が入りそうにない足をなんとかこらえながら、


「だッ!!」


小夜は持っていた箒で突き飛ばした。


しかし、突き飛ばされた生徒は、すぐ起き上がってくる。


小夜はそのまま走り、やっと着いた階段から降りようとして下を見た時、


「キャ!!!」



思わず悲鳴をあげてしまった。



下からは、うじゃうじゃと吸血鬼に吸われてしまったらしい人が、上を目指し階段を登っていた。
血を求めて……

ゆらゆらと蠢く者は、血に汚れながら、ゆっくりと歩く。








下にいけない……!





小夜は階段を諦めまた廊下を走り出した。






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