紅血鬼宮
□第一話/突然世界は血塗られた
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空は晴れ渡り、東に昇った太陽の輝きが眩しい。
ターミナル駅の周辺は電車やバスが絶え間なく行き来し、絶えることはない。
ちょうど、通勤や通学で慌ただしく人々が往来している時間だった。
そしてそこから郊外へ延びる、一際賑わっている一本の坂道があった。
片側一車線の道路で、その車道の両側にある歩道は、学生でひしめきあっている。
歩道に等間隔に植えられた木はどれも綺麗な若緑で生い茂っていた。
その坂道は、住宅街から森へ続き、その先の丘の頂上に立つ高校に向かう通学路であった。
いつもならこの学生賑わいの中、この学校まで続く登り坂のために、話題は専ら「坂がつらい」というようなこと。
だが、最近は違った。
その最近の奇妙な噂を話している学生の一角……
「昨日また吸血鬼が出たんだって!!」
友達の話に、小林小夜は「ふーん」と生返事を返した。
「ちょっと!何よその興味ないですみたいな態度は!」
「うん興味ない」
「何それ、今度は一家惨殺だよ!?それで子どもは体から血が全部抜き取られてたんだって……ヒィ怖い」
小夜の親友、岡部愛は話しながら身震いしていた。
ここ最近、この大きな街で殺人事件が連続して起こっているらしい。
その殺人は決まって日の出ていない夜、ひと気のない道や閑静な住宅街で行われていた。
しかも外だけではなく、就寝中の家の中まで入り犯行に及ぶことも度々あった。
殺し方は残忍で、死体には凶器のナイフのようなもので何回も斬りつけられた跡があったり、中には血を抜き取られている事例も少なくない。
血を抜き取るという奇怪な行動をする殺人犯を皆は「吸血鬼」と呼び、街の皆が次は自分ではないかと怯えていた。
その事件が元で警察は、外出はなるべく控えるように、家にいても戸締りはしっかりするように、と注意喚起し、街の至る所でパトロールをしていた。
だがそんな警察の努力もむなしく、事件は増えるばかりであった。
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