紅血鬼宮

□第一話/突然世界は血塗られた
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チャイムが鳴った時、
島田というこのクラスの担任が入ってきた。


朝のHRが始まった。


「はい起立〜!

ってみんな何必死でやってんだー?」


生徒達は先生が入ってきたにも関わらず、必死で計算を解いている……というより答えを写している。


すると一人の男子生徒、鈴木が答えた。


「数学の宿題が、今日提出なんっすよー」


「お前ら他の教科は出さんのに、数学だけは必死だなぁ。」

島田先生は呆れた顔をする。


「だって山寺先生最強に怖いもんなぁ」

もう一人、男子生徒の斎藤は言った。



山寺先生とは、このクラスの数学を担当している先生だ。

山寺先生は、この学校で一番恐ろしいとされる先生で、生徒指導という立場にいる。

昔、族だったのかと思わせるほど怖く、そこに存在するだけで身も震えるようなオーラを発する。

普段悪い事をする調子こいてる生徒でも、その先生には勝てない。


通称鬼の山寺。



そんな先生の教科で宿題(しかも期限厳守と先生があえて言う)を出さなかったら……
どうなるか想像もしたくないと
小夜は(そして皆は)思う。





しかし、次の瞬間、生徒達の顔が変わった。


「でも山寺先生は今日学校に来てないようだよ」





「えぇーーーーー!!!」


一瞬の沈黙を置いて、皆が叫んだ。


「まじかよ!」
「あの鬼の山寺が!?」
「先生、何で!?」

「朝の会議には居なかったよ。でも休むって連絡はまだないみたい」


山寺先生は真面目な先生だ。

休むなら早くに電話を入れるはずだと
先生達は不振に思っていた。


「休みならこれ出さなくてもいいんじゃね?」
「やったー救われた!!」
「最高だぜ!」

しかし生徒は大喜びだ。はしゃぎまくって、踊っている奴もいる。



「はい、それは置いといてだな、

こらっ!静かにしろ!じゃあ出欠をとるぞー」









そう言って、みんなが静かにした時だった。







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