グロウ
□さざ波
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‐Kaoru side
大学生、特になりたいものだってあるわけじゃなくただ大卒資格のためだけに選んだ大学に通っていたところ、友人に本気を出せと熱く語られ俺が唯一趣味にしているギターで本気を出すことにした
まず編入試験を受けたらまあ合格点。既にグループも出来ているだろう、溶け込めるか不安だったが、そんな心配はひとまず解決した。
友人1号、山田陸。
同じ音楽科の学生だったらしく教授に名指しで頼まれたにも関わらず嫌な顔もせずに話してくれた。
顔は凡人も凡人だが性格は底抜けに明るくて、笑いかたもどこか"らしい"と感じてしまうような彼の雰囲気がある
そして彼の友人の百瀬と梶木は役者科と映像科。
二人とも、いったいどういう縁で知り合ったのか是非知りたいほど顔が良い。話してみれば百瀬は気さくだった、梶木は…俺とは言葉を交わしてないや。
方向が同じだった陸に一緒に帰ろうと誘ったが用事があるからと断られてしまった
「ただいまー、」
「あ、お帰り薫。」
「お帰りなさい薫さん!」
玄関で待ち構えていた人物に俺は目を見張る
弟の大(マサル)と、その友人のトモだ。
「なんだ、二人して俺の出迎えか?」
「薫、どうだった大学は?」
「どうだったってまだ一日目だろうが…。ま、友人は出来たかな。結構人格良さそうなやつで安心だわ。」
頭を撫でようと伸ばした腕が大に触れる前に止まる
「大、トモ。お前らその格好…」
大とトモの格好は黒い半袖のハイネックを中に着込み、その上に着ている襟の立った黒いロングコートには金のラインが施され右肩には金の輪が描かれている、族『リング』の制服を着ていた。
そして大の右耳には金の輪のピアスがついている、それはリングの総長である証だ
「大…お前…」
「俺が収集をかけた、すぐにいかなきゃならねぇんだよ。どけ薫」
「すみません、薫さん。俺もいかなきゃ。」
困ったことにこの二人、族なんざやってる。高1にもなって不良やって、ガキ臭いから止めろと言ってもいままで効果はなかったな
「……大、トモ。お前らただ闇雲に族やってるわけじゃないんだろ?俺に見せろ、お前らの目的ってもんを」
俺の大事な人たちだ。なんとしても守り抜きたいんだ。