太陽ノ教団

□ベツノキオク
2ページ/7ページ

それは俺が異端審問官になる前の事。

6番と初めて交わった数日後の事だった…

心を壊しきった友の6番は、
以後、それが最良の選択であるかのように、当然のように俺に体を預ける。

俺もまた、拒む事で
6番を傷付けるのではないかと恐れ
それに応えていた。

誰も来ない離れの倉庫の冷たい床に横たわっていた時…
6番が口を開いた

「そういえば、ナインは聞いた事あるかい?」

「…何をだ?」

俺が尋ねると
まだ衣服も乱れたままのそいつは、床に寝転がったまま両肘をつき
ビッグニュースだよ、と笑って言った


「近い内、僕等は処分されるんだってさ。」

「…どこでそんなことを」

「ほら、僕ってさ、一応聴力特化じゃん。
それで、研究者サン達の話を聞いたんだ〜」

「他の奴等には話したのか?」

「?話す訳ないでしょ」
さも当たり前のように、シックスは言ってのける。
昔はこんな事を言う奴ではなかった…

「なら何故俺に話す」

「君だからだよ。

…解放される喜びをわかちあうなら
ナインしかいないと思ってさ!

もう電流が走る首輪や、嘘っぱちの記憶や、
心臓部に埋められた爆弾に怯える必要もないんだ!
やったよね!ねっ」

「…あぁ」

臆病な俺は
嬉々として、死を受け入れようとする友を前に…


それでいいのか?


なんて聞けなかった。
「ねぇナイン」

シックスは抱きつくと言った

「…最後は…一緒がいいな…」

俺以上に臆病な

そいつの体は

あんなに嬉しそうに振る舞ってみせても尚

震えが隠せていなかった。

俺は抱き返すと答えた。「あぁ、一緒だ。
だから怖がらなくていい」
「…本当?」

「あぁ…」

「…僕等、ずっと一緒だよね」
「…あぁ」

そしてその日の自由時間は終わり…
俺達は別々の研究施設へと戻る…
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ