太陽ノ教団

□キオク2
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「ふぅん、シックスって言うのか」
「うん。」
「私はシルクって言うんだ。
よろしくな!」

シルクが笑顔で手を差し出す。
…その無垢な表情が
何だか無性に憎らしく感じた
「…名乗ったけど、
宜しくしたげるつもりはないよ」

僕は視線を逸らす

すると、
無理やりぐいっと顔を向けさせられた。
「そう言わずに!」
「……(え…何この子ウザイ…)」
しばらく黙り込んでみたが、どうやらこの子を満足させなきゃ手を退けてもらえないらしい。

僕は仕方なく
「…よろしくね」
と返して解放してもらった。

「何でそー意地になるかなぁ。
他に遊ぶ子いるでしょ?僕、これでも忙しいんだよね(迷ったけど)」

「遊ぶ子は……居ないぞ。
出掛けるか、ここに居るかしかないんだ。」

「ふぅん、そりゃ大変だねー」

「なぁシックス、私達はもう友達だよな!
だからさ、だからさ…これから毎日、ここに来てくれる!?」

「へ!?いや、待ってよ。宜しくとは言ったけど、友達になるとか言ってないよ!
それに毎日とかそんな無茶ぶり、リッシュ様でもしないよ!」

なんか知らないけど、飛びすぎじゃないかこの子!
まるで姫か何かじゃないかなんて思い、

僕は関わるのをやめようと否定したのだが…

その否定の言葉は

少女の手が
一輪の花を髪にさした時
せき止められた

「じゃあ、これ…友達の証な!」

「…ッ」

優しい香りが
現実のものとなって香る
「うん、シックスは可愛いからな。すごく似合ってるぞ!」

少女は笑う

「…そ、そう…」

崩れた記憶が
パズルピースが
再び少しずつ組み立てられていく。

ただ、
それは完成した時

前とは違う絵になるのではないかと僕は思った。
「…あのさ」
「ん?」

「…僕よか、君のが似合うんじゃないの?」

僕はそう言って
彼女がしたように
何本かの花を積むと

あの記憶と同じように花冠を編んでみる。

「わぁ、花冠作れるの?凄い凄い!!」

後ろで少女がはしゃぐ

「静かにしてよ…

別に大した事じゃないさ

ただ、記憶があるだけ…っていうか…

…よし、出来た。」

僕は出来上がった花冠を少女に被せる
少し、大きすぎたみたいで
それは首に掛かった

「…なんか形、変」

「う、うるさいなぁ!!
そう作ってた訳じゃないんだから仕方ないよっ」
「けど…

やっぱり凄いな!
私には作れないぞっ」

そう言って
頭を撫でられた。

何だか
変だ。

「…また、作りにくるよ。
変とか言われるのシャクだし」

真っ黒な僕は
真っ白な彼女の前に居ると

「本当!?また来てくれるんだな?」

「うん。
友達だし…さ」


灰色くらいに
なれる気がした。

なってもいい気がした。


僕はその日
自分の立場を忘れてその子と遊んで
やがて、何とか道を見つけ帰路についた…

特に仕事がない日で良かったと思いながら
その日は眠りについた。
その日見た夢は
なんだか、とても楽しい夢だった気がする……


  
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